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IC#67







式典を終えたルルーシュは焦っていた。皇帝が戻ってきたということは、人質に取られているナナリーが危ないということ。ナナリーを助けるため、ルルーシュは頭の中で様々な策を練っていた。
コーネリアを交渉の道具に使うか。もしくはロロとジェレミアを使うか・・・。どちらにせよ、皇帝には効かない。いっそのこと、ゼロがルルーシュだと明かしてしまうか?と考えたが、そうすれば黒の騎士団が先に崩壊するであろう。
様々な策を考えるが、どれもこれも使い物にはならなかった。

(くそっ。万が一ナナリーを助け出したとしても、ブリタニアにはリリィもいる!皇帝はリリィを溺愛していた。手を出すはずがない・・・とまでは言い切れない・・・っ!)

ルルーシュの思考は堂々巡りだった。だから後ろから聞こえてくるC.C.の声に無性に腹が立ち、つい大声を上げて、彼女の持っていた皿をはじき飛ばしてしまった。
皿は粉々に割れ、C.C.の指を切った。流れ出る血を見て我に返ったルルーシュは、慌てて彼女の手を掴んだ。
C.C.は少し微笑んでから言う。「中から痛いときよりも、全然平気」だと。むしろ寒い時は痛いほうが助かると言う。彼女の過去を思い出したルルーシュは体を震わせた。
C.C.はいつも一人で、いつも傷だらけであった。愛されたいと願ったC.C.。願いが叶い、そしてやがて騙されていたことに気づく。彼女はまた傷ついた・・・。

「お前は中から痛い時、どうしていたんだ?」
「友達・・・がいればよかったんですけど・・・。親とか兄弟とかと違って、友達ならあとからでも作れるし・・・。でも私にはそんな味方もいなくって・・・」
「味方・・・・?」
「あの、そう聞いたんですけど、違うんですか?」
「・・・いや、違わない。それが友達だ・・・。」

ルルーシュの中で一人の人物の顔が浮かび上がる。昔からの友達、枢木スザク・・・。
C.C.の怪我の処置をしたあと、彼はスザクへ電話をかける。相手はすぐに出た。懐かしい声は、少し厳しさを帯びていた。

「ニュース、知ってるだろ?トウキョウ疎開も危ないかな?」

不意に投げかけた質問に、スザクが冷たい声で返してくる。

「それは君が決めることだろう?ルルーシュ。君は・・・ゼロか?」

逆にスザクの質問に、ルルーシュの時間が一瞬止まる。ここで嘘をついても仕方なかった。ナナリーのため、ルルーシュは正直に答えた。

「そうだ。俺がゼロだっ!」
「・・・・・っ!ブリタニアの敵が、僕に何の用だ?」

一気にスザクの態度が激変する。それは仕方ない。ゼロはユーフェミアを殺した。たくさんの人間も殺した。でも、そうしてでも守りたいものがあったのだ。

「頼む。ナナリーを助けてくれ。皇帝は俺を押さえるために、ナナリーを人質にしている。だから俺は、隠れて動くしかなかった。それに万が一ナナリーを助けたとしても、今度はリリィが人質になるかもしれないんだ。頼むスザク。お前以外に頼める人間がいないんだ・・・」
「僕が君の頼みを引き受けると思うのか!?ルルーシュ、お前は身勝手だな・・・」
「分かっている!でももう頼めるのがお前しかいないんだっ・・・!頼むっ!ナナリーを・・・守ってください。」

ルルーシュの消えてしまいそうな声に、スザクは小さくため息をつく。電話口から「分かった」と聞こえてきた瞬間、ルルーシュは崩れ落ちてしまいそうになった。「ただし、条件がある」とスザクは言葉を続ける。

「ナナリーを守るというのなら、ナナリーがいるこのエリア11に君が一人で来るべきだ。場所は枢木神社。二人っきりで話をしよう。そして・・・リリィのことだが、やはり君はリリィを思い出したんだな。リリィのことは君が心配しなくても、僕自身の意思で彼女を守る。この身をかけて、一生!僕はリリィにそう誓ったんだ。もうリリィの隣に、君の居場所なんてない。だからエリア11に来て、リリィには会おうなんて思わないでくれ。」

きっぱりとそう告げるスザクの声を聞きながら、ルルーシュは動揺した。

(スザクの言っている意味は、どういう意味だ?全ては枢木神社で分かることなのか?)

二人の運命が再び絡み合おうとしていた。




ぼくは自分がだれかを憎んでいることを知っている。
(ローベルト・ヴァルザー)



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カテゴリー:  IC

IC#66






超合集国憲章批准式典会場では、批准式のための準備が行われている。
ディートハルトが映像のチェックをし、天子は内容を読み上げる練習をする。藤堂は化粧をされ、唸っていた。
ブリタニア国でもこの式典に対し、軍が動く。武器や兵士がキュウシュウ・チュウゴク・ホクリクを中心に次々配備されていく。
批准式は各国に放送されていた。もちろん、ブリタニア本国のみならず、エリア7でも・・・。
この中継をモルガン、ユーサー、そして新しくエリア7総督に就任したリリーナも見ていた。

『最後に、合集国憲章第17章、合集国憲章に批准した国家は固有の軍事力を永久に放棄する。その上で、各合衆国の完全保証についてはどの国家にも属さない戦闘集団、黒の騎士団と契約します!』
『契約、受諾した。我ら黒の騎士団に資金や人員を提供してもらう。その代わり、我らは全ての合衆国の盾となり、外的を制する剣となろう!』

つまり黒の騎士団は、合衆国の軍隊となった・・・ということだろう。トップの皇も、おそらくは黒の騎士団と深い結びつきがあると思ってもよい。
リリーナは黙って中継を見続けた。そして、皇からある提案がなされる。
日本の領土がブリタニア軍によって不当に占拠されている。そのため黒の騎士団の派遣を要請し、日本を取り戻したいのだと・・・。これに対し賛成多数で第1號は決議され、黒の騎士団は日本を解放するための戦いを始めることとなった。

「またあの国で、戦闘が始まるのかのぅ・・・」

ユーサーが悲しそうな声を上げた。日本とブリタニア。その二つの国は、なかなか交わることができない。今まではブリタニアが力で押さえ込んでいた分、今になって反発する者も多いだろう。

「歴史は繰り返す・・・か。それに我らエリア7も、ブリタニア軍として参加せねばなるまいとはな・・・。しかし、あの子たちは大丈夫だろうか?再びまた、あの地で戦うことになるかもしれないのであろう?」

二人の言葉を聞きながら、キュッと口を結ぶリリーナ。
本国で指揮をとっているのはシュナイゼル。彼はおそらく、この戦いを力でねじ伏せるはずだ。そのために、彼はきっとエリア7の技術力を求めてくるのではないかと彼女は予想している。

「大丈夫よ。アイツとの交渉の余地は必ずあるはずだわ・・・」

彼女の小さな呟きに、ユーサーもモルガンも意図が分からず、二人で顔を見合わせるだけだった。
一方その頃エリア11でも、この中継をシュナイゼルやナイト・オブ・ラウンズ、エンジェルズ・オブ・ロードであるリリィやライも見ていた。
テレビからはゼロの高らかな声が流れてくる。

「いいでしょう。超合集国決議第1號、進軍目標は・・・・日本!!!」

ゼロの細い指がはるか遠くにある日本の方向を指さす。その瞬間、二人は目を閉じて下を向いた。
この批准式が行われると聞いたときから、だいたいの予想はついていた。
この小さな国がまた戦場に変わるのかと、リリィは胸を痛める。でももう、8年前とは違っているのだ。たとえ歴史が繰り返したとしても、同じ過ちは繰り返さない。
リリィはスッと顔を上げた。ちらりと椅子に座るシュナイゼルを盗み見たあと、彼女は心に誓った。

(戦争になったとしても、フレイヤだけは使わせないわ、お兄様。)

テレビからはそのまま、人々の割れんばかりの歓声が聞こえてくる。その中に突然、聞き慣れた渋い声が交じった。

『ゼロよ!!!』

画面が突然切り替わり、ブリタニア皇帝が映し出された。彼の自身に満ちた顔を見た瞬間、ルルーシュとライは瞳を揺らす。あの空間に置き去りにしてきた。死んだと思っていた。だが実際は生きていたのだ。

「こっ・・・皇帝陛下が・・・」
「お戻りになられたか。」

この映像を見て、第2皇子であるシュナイゼルが小さく吐き捨て、リリィは驚いて叫ぶ。二人の声が重なった。

「偽りの劇場を気取られますか、父上・・」
「おっ・・・お父様っ!!!」

涙ぐんだリリィの声が聞こえた時、ライはちくりと胸が痛む。同時にドキドキと心臓が激しく鳴り、まともに彼女の顔が見れなかった。そして、皇帝の顔さえも・・・。皇帝を置き去りにした行為。それは皇帝を敵に回してしまったという証拠である。さらに、父親が大好きな彼女を裏切ってしまった行為でもあるため、後ろめたさを感じていた。

『ゼロよ。それでワシを出し抜いたつもりか。だが、それも悪くない。EUはすでに死に絶え、つまりキサマが作ったこざかしい憲章が、世界をブリタニアとそうでないものに色分けする。単純それ故に明解。この戦いを制した側がこの世界を手に入れるということ。いいだろう、ゼロ。挑んでくるがよい。全てを得るか、全てを失うか。世界とは元来、そういうものだ。オールハイル・ブリターーーーニア!!!』
『日本、万歳っ!日本、万歳!!』

力強く叫ぶ黒の騎士団たちは、本気で日本を取り戻しにくるはずだ。
ライは雄叫びを上げる彼らの声を聞きながら、無言で部屋を出て行く。その姿にリリィは少し不安を覚えた。
彼が浮かべていた表情はどこか余裕のないような感じであったから。リリィは彼の背中を追って廊下へ出て、声をかけた。

「あ・・・・ライ?」

彼は名前を呼ばれても何も答えず、決して立ち止まらなかった。広い背中が次第に遠ざかって行く。少しだけしょげながら部屋へ戻ってくると、スザクと視線が合う。

「ライ、どうしたの?」
「・・・さあ?分からないわ。でもなんだか余裕のない表情を浮かべていた気がする。」
「・・・ふぅーん。」

スザクは彼が出て行った入り口に視線を向ける。いつも余裕のありそうな表情を見せる彼なのに、珍しいことがあるものだ・・・と思う反面、スザクの勘が何かを告げているような気がしたのだった。



全世界がひとつの舞台、そして人間はみな役者にほかならぬ。
(シェイクスピア)


カテゴリー:  IC

#IC63






「思い出したか?ライ・ルシフェル。お前の昔の記憶を・・・・。」

静かにそう言うC.C.に、ライは自嘲的に笑ってみせた。

「思い出したよ。僕は君と同じような存在であるU.U.と、コードを半分分け合った存在だった。僕はルルーシュと同じような力を得て、兄や父を殺した。暴走したギアスによって、母や妻、妹までも・・・・。アストリアを捨て、敵から逃げた僕は自分の子供であるロイを、大事に育ててくれるであろう老夫婦に託し、U.U.と一緒にあの場所へ向かった。今の名前で、神根島とよばれる場所。僕はそこで――――――」

U.U.は僕に言ったんだ。
君を殺すことはできない。だけど、僕と君とがひとつになることで、僕は君の願いを叶えられると。

『ライ。君は全てを忘れて、ゆっくり眠るといい。子供に戻って、再び新しい人生を歩むといい。ギアスの力は消えない。次の人生でもきっと、君はギアスに翻弄され、孤独になる。でも、次の人生では君を、誰かが支えてくれるはずだから。大丈夫。僕はね・・・・・・』


君の中で、生きつづけるよ。ずっと、一緒に。だから、安心して?


その言葉を聞きながら、ぼろぼろになった僕は、静かに目を閉じた。U.U.の言葉がまるで、ゆりかごに乗っているように心地よかった。
最後に覚えてるのは、暖かいぬくもりが僕の中に流れ込んでくることだけだった。

「そしてあなたは、眠った。記憶は全て消え、U.U.の力であなたの体は赤ん坊に戻った。神根島で赤ん坊の姿のままで眠っていたあなたは、時代を超え、現代で目覚めた。皮肉にも、ギアスと神根島の調査に来たブリタニアよって・・・。ライ・ルシフェル。お前の子供、ロイ・アストリアがあの後どうなったか聞きたいか?」

ライは黙ったままだった。何も言わないライを見て、C.C.が静かに話し出す。

「お前の子、ロイ・アストリアは、お前が眠ってからもすくすくと成長を続けた。ロイはお前に似て、強くて優しい青年に成長した。そんなロイを、子供のいない、とある小さな国の王が養子にと引き取った。年老いたその王の代わりに、ロイはその国の王となった。即位したロイは、ニーア・ド・ブリタニアと名乗るようになり、国は名前を変えた。神聖ブリタニア帝国。そう、ロイは初代ブリタニア皇帝。つまりお前は・・・・ブリタニア皇帝の祖先ということだ。」

静かに彼女の言葉を聞いてるライを見て、「驚かないのか?」と声をかけるC.C.。ライは笑って見せた。

「正直驚いてるよ。でも、ここまで来たらなんでもアリだな。死ねない体も、ブリタニア皇族の祖先だったことも。全てを思い出してから、僕の中で、僕じゃないもう一人の鼓動が聞こえるような気がする。きっとそれはU.U.。彼はずっと、僕と一緒に生きていた。そしてあの時彼と僕がひとつになったことで、僕はギアスのコード保持者になった。ブリタニア皇帝と同じ存在・・・・。」
「そうだとしても、お前はライ・ルシフェルだ。」

額縁の絵が飾られる空間に、アストリア皇帝だったころのライの肖像画浮かび上がる。その横には、ビデオ再生されているように、昔のライの出来事が流れていく。
この空間に住まうC.C.が言うように、自分が過去の人間だったとしても、今の彼自身はライ・アストリアではなく、ライ・ルシフェル。
ライ・アストリアの人生を捨て、ライ・ルシフェルの人生を歩みだした人間・・・。

「そうだね。僕は間違いなく、ライ・ルシフェルだ。全てを思い出し、僕自身の罪も理解した。僕がどんな存在なのかも・・・。ありがとう、C.C.。僕の記憶を呼び覚ましてくれて。」
「礼なら正しい時空のC.C.に言ってくれ。彼女は優しい。それゆえにお前をここに送り、ルルーシュをもどこかへ送った。きっと、ひと時でも何かから、彼を守ろうとしたんだと思う。」
「ルルーシュはどこへ?」

ライはC.C.に尋ねる。彼女はゆっくり、遠くを指差した。彼女の示す先に、空間の裂け目のようなものが小さく浮かんでいた。
「彼はおそらく、私の過去を見ている」とつぶやくC.C.に、ライは目を細める。

「君の過去は・・・・・」
「あまりいいものではない。私もコード保持者だ。それ相応の罪は背負ってる。」

C.C.はライに背を向けた。ライも彼女に背を向け、空間の裂け目へと歩いていく。
全てを思い出した自分をリリィは受け入れてくれるだろうか?
大丈夫だ。きっとリリィは全てを理解してくれる。だって僕たちは仲間で、兄弟なのだから。それがたとえ、偽りのものでも・・・・。
空間の裂け目に手を入れる。光が見えた。
ここと同じような空間にたたずむもう一人のC.C.と、ルルーシュの姿も。ライは思いっきり、空間の中に飛び込んだ。「ルルーシュ!」と、彼の名前を呼びながら。
こちらを向いた彼はきっと、C.C.の過去を知った後だろう。左目にギアスを宿したルルーシュも、ライが何かの答えを掴んだのだと、瞬時に分かった。右目だけにギアスを宿していたはずのライが、両目にギアスを宿していたから・・・・。



* * * 



「私を憎む人、優しくしてくれた人、全て時の流れに消えていった。果てることのない、時の流れの中に・・・。あぁ、これで終わる。私の長い旅が・・・。」

アーカーシャの剣の中で、C.C.がブリタニア皇帝に寄り添う。彼女は、やっと自分の命が永遠という名の呪いから解き放たれるのだと実感していた。
いろんな人と出会い、別れ、そして時代を重ねていく。もう、十分だ。十分生きた。あとは静かに眠りたい。全てを、終わらせたい。ゆっくりと目を閉じた瞬間、一人の少年の声が鋭く上がった。

「C.C.----------っ!!」

その声と同時に、蜃気楼とランスロット・クラブの姿が浮かび上がる。
この空間そのものが、直接思考に干渉するシステムだと気づいたとき、何かのシステムが2機を身動きの取れない状態へと誘う。羽交い絞めにされた蜃気楼とランスロット・クラブを見て、ブリタニア皇帝は笑った。

「すぐに終わる、ルルーシュよ。そこで見ておれ・・・。」

皇帝がC.C.の腕を掴んだ瞬間、2人を光が覆う。

「やめろ!そいつは俺の・・・・俺の・・・・。答えろC.C.!なぜ俺と代替わりして、死のうとしなかった!?俺に永遠の命という、地獄を押し付けることだってできたはずだ!?俺を哀れんだのかC.C.!そんな顔で死ぬな!」

最期くらい、笑って死ね!
俺が必ず笑わせてやる!だから・・・・・・・・っ!

最後の言葉に、ライとC.C.が同時に目を細めた。C.C.は皇帝を突き飛ばし、蜃気楼とランスロット・クラブを助ける。
「これ以上奪われてたまるか」とつぶやいたルルーシュが、アーカーシャの剣を攻撃する。神殿は崩れ、皇帝はルルーシュを睨んだ。

「なんたる愚かしさかーーーーーーーーーっ!!!」

(愚かしいのは、あなたのほうだ。ロイはきっと平和を願い、けがれのない国という意味をこめてこの国を神聖ブリタニアと名づけた。あなたはそんな初代皇帝の願いを考えていない。ねぇ、U.U.。この世界は、僕たちが生き続けるような価値のある世界じゃないよね?)

自分の胸に手を当てて、ライの操るランスロット・クラブはツインMVSを構える。神殿の柱を切り倒すその姿に、ブリタニア皇帝が吼えた。

「ライ・ルシフェル!!!ワシを裏切るかーーーーーーー!」

爆発するアーカーシャの剣の中で、ルルーシュが落下していくC.C.を捕まえる。そのままライとルルーシュ、C.C.は元の場所へと戻ってきていた。
ギアスのマークが刻まれた扉の前で、C.C.が目覚める。心配そうに彼女を見つめていたルルーシュとライを見て、C.C.は言った。

「あっ・・・・新しい、ご主人様たちでしょうか!?できるのは料理の下ごしらえ、掃除洗濯、裁縫、牛と羊の世話。文字は少しなら読めます。数は20までなら・・・・。死体の片付けもやってたので・・・」

そんな彼女の姿にルルーシュは言葉を失い、ライを見る。
記憶を失ったC.C.に、ライはかつての自分の姿を重ねるのだった・・・・・。




生へ帰りたまえ!神聖な真剣さをたずさえて行きたまえ!
神聖な真剣さこそ生を永遠になすものなれば。
(ゲーテ)



カテゴリー:  IC

IC#62






ライが王位を継承してから3年。父や戦争に反対していた兄たちは、いなくなった。
ライの住む宮殿には、いつも花が咲き乱れ、蝶が舞い、明るい笑い声は絶えなかった。王位継承後に結婚し、エリーという娘を妻に持ったライは、大好きな母と妹のリズ、親友のU.U.と楽しく暮らした。
平和な時間の中で、新しい命にも恵まれた。ライの血を引く初めての子だった。ロイと名づけられた赤ん坊は、ライにそっくりな男の子だった。
ロイを腕に抱きながら、家族と友人と平和に暮らすことが、ライにとって何よりの幸せで・・・。アストリアの国民たちにも、この3年でずいぶん明るい笑顔が戻っていた。

(このままずっと、幸せが続けばいいのに・・・・。守りたい。この平和を・・・。)

そのためには・・・僕だけが汚いことをすればいい。ギアスを・・・・。
そう呟けば、いつでもU.U.が彼に寄り添った。

「ライ、僕たちは2人で1人だ。ライは僕と生きる。僕はライと生きる。そういう約束だ。ライが作る世界は、きっと僕たちが生き続けるのに価値のある世界になるよ。」

ふわりと笑ったU.U.の笑顔には、ライを安心させる効果があった。どんなに不安でも、この先、死が訪れないと分かっていても、U.U.となら大丈夫だ。不思議とそんな気がしていた。
大好きな母とリズの死に目にあっても、愛したエリーの最期に立ち会っても、年をとって死に逝くロイを看取っても、ライの命はずっと続いていく。ギアスを持った罰。人間を超えてしまった罰。その罰を背負ってでも、世界を平和にしたかった。願っていたはずだった。平和を・・・・。しかし、平和はついに破られてしまった。

隣の国の軍隊がアストリアに攻め入ったのは、夜明け前だった。
燃え上がる街。女性の悲鳴と、子供の泣く声、男たちの戦う声。何百と攻め入る敵兵に、アストリアは崩れていった。
ライとU.U.は前線に立ち、敵兵と戦った。体が血で汚れる。仲間たちが死んでいく。けれども、2人は死ななかった。
ライはそのとき、自分が不老不死であることを深く実感する。しかし、この足が動き続ける限り戦う。大切な人を守るため。民を、守るために・・・。
次第に仲間の兵士が減り始め、ライたちアストリア軍と国民たちは王宮に逃げていく。もう領土の半分以上は、隣の国の軍隊が占拠してしまっていた。体勢を立て直し、アストリアの国を奪還するため、ライは上から敵兵を睨んでいた。

(どうして平和に暮らそうとしないんだ!どうしてみんな、平和を奪っていくんだ!どうして人を殺してまで、領土を手に入れようとするんだ・・・・!国を豊かにするために、戦争をするというのか!これでは父と・・・・アストリア皇帝と同じではないか!)

ギリッと唇をかみ締め、拳を握る。怒りで拳が震えた。
心の奥底で闇が・・・憎しみがふつふつと沸いてくる。その瞬間、ちくりと片目がうずいた。頭がガンガンする。
遠くで敵兵の雄たけびが聞こえ、大地を駆ける馬のひずめの音が聞こえ始めた。こちらに向かってきている。何百という、いや、何千にもなった敵軍が・・・。

(この王宮は最後の砦!ここを奪われてしまっては・・・・!させるものか!アストリアは、僕たちアストリア国民が取り返すっ!あんな野蛮な人間どもに、アストリアを渡すものか!世界を・・・作らせるものか!!)

ライは静かに剣を抜く。胸の奥に湧き上がった憎しみが、次第に膨れ上がってくる。それと同時に、ドクドクと心臓が脈打ち、頭痛もひどくなる。うずいていた片目からは、焼けるような熱さと痛みを感じた。何かが・・・破裂しそうだった。

「ライ!敵軍が押し寄せてきた!ここを落とされては、アストリアはもう・・・っ!」

ライと同じように、鎧で体を覆ったU.U.がそばへとやってくる。剣を携えたライは、静かに振り返った。
その瞬間、U.U.はハッと息を呑む。何かを言いかけようとしたとき、ライは大きく叫んだ。

「みんな!王宮を守れ!!死ぬ気で戦え!!僕も死ぬ気で戦う!アストリアは・・・・僕たちアストリアの人間で守り抜くんだっ!!!」

ワッという声が上がるのと、U.U.の顔が真っ青になるのとが重なった。
彼の「ダメだライっ!」という声は、走り出した国民の声にかき消されていく。
ライの横を、国民たち全員が駆け抜けていった。年寄りも、子供も、女性も、男性も、みんな手に武器を持って・・・・。その異変に気づいたのは、戦闘力のない国民たちが敵兵とぶつかった瞬間だった。

「ど、どうして国民たちがみんな、戦いに行くん、だ?どうして女性や子供たちも戦いに行くんだ?僕は・・・・そんな風に言ったつもりはないんだ・・・・。それなのに、どうして!?」

呆然とするライの目の前で、弱者はみんな切り捨てられていく。それでも彼らは、戦うことをやめようとしなかった。
その光景を辛そうに見つめていたU.U.は、ライの目の前に自分の剣を差し出して言った。

「ライ。この剣で、自分の顔を見てごらん?」

U.U.に言われたとおり、ライは磨かれた剣に自分の顔を映した。
赤くなった片目に、はっきりとギアスのマークが映し出されている。消えることのないそれは、自分を主張しているようにも見えた。

「これは・・・・どういうっ・・・・!?僕はギアスを使った覚えは・・・・!」
「よく聞いて、ライ。これはギアスの暴走だ。さっき、片目に違和感を感じなかったかい?」
「そういえばさっき、急に頭が痛くなって、片目が熱くなった。痛みもあった・・・。ギアスの暴走って・・・・・」

片目を抑えるライから視線をはずし、U.U.が小さく言葉を紡ぐ。

「ギアスの力を抑えることができなかった人間は、ギアスを暴走へと導き、そのまま破滅へと向かってしまう。ライ、君のギアスも暴走してしまったんだ。君はさっき、ギアスを暴走させたままこう言った。『みんな、王宮を守れ。死ぬ気で戦え』と。君のギアスは、聴覚を介しての絶対遵守のギアス。つまり、君の言葉を聞いた彼らは・・・・」

U.U.の言葉を聞きながら、ライは大きく目を開く。向こう側から、彼のよく知る人物が3人駆けてきた。
長い髪をなびかせ、険しい顔でかけるその女性たちの手には、不釣合いなほどの武器が握られている。妖しく光るその武器から、ライは目を離せなかった。彼とU.U.の横を、彼女たちが何も言わずに駆け抜けていく。
時間が・・・・止まったようだった。
はらりと一筋、ライの瞳から涙が零れ落ちる。その瞬間、ライは瞬時に振り返り、3人の背中に向かって叫んだ。

「・・・・母さんっ!!リズっ!!エリーっ!!!行くなっ!!!そっちに行っちゃだめだ!!!行くなーーーー!!!行っちゃだめだーーーーーー!!」

とっさに走り出す。しかしU.U.がライにしがみつき、行かせまいとする。

「離せU.U.!このままじゃ、母さんたちがっっっ!!」

「行っちゃダメだライ!!君が捕まったら、アストリアは終わりなんだっ!!君は死なない体だ!!それゆえに敵国は君を、実験台に使うだろう!!それだけはダメだ!!!」
「僕が捕まらなくてももう、アストリアは終わりだ!!終わりなんだっ!!みんな!行かないでくれっ!もう、十分だろっ!?ギアス・・・!お前は僕から、全てを奪ったんだ!もう、満足だろっ!」

ライは必死に抵抗した。U.U.の拘束を解いた瞬間、視界の先のほうで最愛の人物たちが赤く散る。
街は焼け、土煙が舞う広い荒野で倒れる女性たち。その中で、妹のリズがライをほうを向き、小さく口を動かした。

『おにい、さ、ま・・・・・』

声は聞こえなかった。
崩れ落ちる肢体。ライは目を離せなかった。いとしい人たちの死から・・・・。
音が聞こえなくなり、頭の中は真っ白だった。

「あ・・あ・・・あっ・・・・うわあああアアアアアアアアーーーーーーーっ!!!」

状況を理解した時ライは、獣のように大きく叫んだ。その咆哮は、国民たちの散っていく命の音にかき消されていった。
どこで間違ったのか、分からなかった。この世に生まれてしまった時点で、間違っていたのかもしれない。
ギアスは人を、孤独にする。
今ならその言葉がよく分かる。
力の抜けたその体に、暖かいものが触れる。
ゆっくり顔を向けたその先に、耳の聞こえない老人がいた。彼はにっこり笑って、腕に抱えていた赤ん坊をライに差し出した。小さくぐずっているその子は、ライにそっくりなロイ。

「ライ、今は逃げるんだ!エリーたちが残したその子は、君にしか守れない・・・。だから・・・・っ!」

ライは老人からロイを受け取ると、そっと額にキスをした。ぐずっていたロイが表情を変え、ライににっこり笑ってみせる。

「ライっ!!!時間がないっ!!!」

顔を上げると、敵軍がすぐそこまで来ていた。
アストリアはもう終わった・・・。だが、アストリアの血は・・・自分の血はまだ続いている。ロイが生きている限り・・・。
どこかで間違ったかもしれない。人を超えた力を手に入れた罰かもしれない。けれども、この腕の中で笑うわが子だけは守りたい。守ってみせたい・・・・!
ライは馬に飛び乗ると、アストリアの外へと駆け出した。人間でなくとも、人間の親でありたいと思いながら・・・・。

・・・・これが自分の記憶。忘れていた・・・・・罪の記憶。







すべては沈んでしまう。私だけが残る。
(ホルツ)




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IC#61






ブリタニア帝国ができる遥か前の世界・・・。ライはそんな時代に生を受けた。
父はとある一国の王。その国は、アストリア帝国といった。母は小さな島国出身の巫女であった。
ライの母は美人ではあったが、異国の出身であったため、他の皇妃たちの中では一番下の階にいた。だからライもつまり、皇位継承権は一番下で・・・。けれども母はそんなことを気にせず、いつも笑顔で優しかった。ライはそんな母が大好きだった。しかし、父は違う。
ライの父は、今のブリタニア皇帝とよく似ている。彼はいつも戦争を推し進め、領土を拡大していった。ライの異母兄弟たちもみんな、父についていく。ライだけが、いつも戦争に反対していた。
戦争を推し進めることで、民が苦しむ。愛する人と別れ、兵士たちのそばには常に死が待っている・・・。そんな生活を民にさせたくなかった。この国は戦争などしなくても、十分やっていける国力はあるのだ。ライは常にそう、父に訴えていた。
そしてあの日も、いつものようにライは父に謁見した。

『父さん、戦争なんてしなくても、アストリアは十分やっていけます!国とは民の生活からできているんです!民を大事にしない国など、滅ぶだけです。』

父はうんざりしたような顔をし、ライに軽蔑するような眼差しを送る。

『ライよ、どうしてお前だけがいつも私の方針に反対するのだ。戦争は民に、豊かな生活をもたらす。アストリアは戦争で領土を拡大し、ここまで豊かになったのだ。民が望むことは、これまで以上の豊かな生活。だから私は、もっと領土を拡大していかねばならんのだ。』
『それは今、戦争に勝ち続けているからこそ言えるのです!負ければどうですか?財を失い、民を失い、信頼を失う!そうなれば・・・全て終わりです。あなたは王ではなくなる。』

彼の言葉にアストリアの王は怒った。玉座から立ち上がり、ライに指をさして怒鳴る。

『お前は父である私を侮辱するか!私はどこにも負けぬ!ライ、やはりお前の教育は、あの女に任せるべきではなかった!あの女め!私の血を引いた子供に、王を侮辱する態度を教えたな!』

父が紡いだ言葉は、ライの母を非難する言葉。拳を震わせ聞いていたライは、立ち上がると父を睨み付けた。

『母さんを非難することは、僕が許さない!父さん、もしこのまま戦争を続けるというんなら、僕はあなたから国を奪います!あなたから国を奪い、今とは違う平和な国を・・・!』

ライの言葉を聞き、王は一瞬キョトンとする。しかし彼はすぐに大きく笑った。

「ふ・・ふはは・・・・ははははは!これはなんという傑作!皇位継承権が一番下の皇子が、私から国を奪うと?結構!しかしお前がどうあがこうが、お前が私に勝てると思うか?私や兄弟たちを殺し、この国を乗っ取るなど、夢のまた夢!』

父の言葉に唇をかみしめるライ。彼はそのまま父の笑い声を背に、謁見室を飛び出した。
悔しい。今の自分には、父の言うとおりだった。
己の力量のなさ。人脈も力もない自分は、母も民も国も守れやしないのだ。

『僕に・・・力があれば!』

アストリア全土が見える小高い丘で、ライは拳を握った。そこに銀髪の少女と、緑の瞳を持った少年が現れる。一人はライの妹・リズ。だが、もう一人は知らない人物だった。リズが言うに、この少年は彼女の友達らしい。

『お兄様!ご紹介します。こちら、私の友達のU.U.(ユーツー)よ!』



———

—————

「・・・そうだ。全てはU.U.。彼から始まった。ギアスという呪いの力は、彼からもらったんだ・・・。」

自分自身の記憶の映像を見ていたライは、一人で小さく呟いた。声の余韻が消えるころ、誰もいないはずのこの場所に、女性の声と靴音が響いた。

「そう。それがあなたのギアスのルーツ。出発点、罪の始まり。終演へ向けての・・・。」

彼の前に姿を現したのは、ルルーシュの共犯者、C.C.。しかし彼女はどうも、彼を今の場所に飛ばした人物とは違う感じがした。

「C.C.・・・。けど君は、僕をここに送ったC.C.とは違うC.C.だね。」

ピクンと彼女の眉が動いた。腕組みをして彼女は答える。

「えぇ。彼女と私は違う。彼女がどうしてあなたに記憶を取り戻せたがってたのか、私には分からない。けどもしかしたら、彼女は全ての記憶が戻ったあなたに、ルルーシュの味方になって欲しいと思っていたのかもしれない。だからあなたを、ここに送った。」

C.C.の言葉にライは瞳を伏せた。
アストリア帝国の王は、ブリタニア帝国の王に似ている。その父に歯向かおうとしていた昔の自分は、今のルルーシュによく似ていた。でも過去の自分とルルーシュが、よく似ていたとしても・・・。

「それは無理だ。リリィがブリタニアにいる限り、僕は・・・。それにまだ、僕は完全に記憶を取り戻したわけじゃない。」
「・・・そうね。では続きの記憶、あなたが望むのなら、見せましょう。」

C.C.はそう言って、光のかけらを差し出した。これはライの記憶のかけら。失っていた、自分の一部。そこ刻まれているのは、犯した罪と辛い記憶の数々。そして、ライの求めていた・・・真実。

「ライ・ルシフェル。ギアスを手に入れ、ギアスに翻弄された者よ。あなたが全てを取り戻したとしても・・・」


あ なたは ライ・ルシ フェ ル 。それ を忘れな いで。


目を細め、光に手を伸ばすライの瞳に、C.C.の笑った顔が焼き付いた。



* * *



リリィは今、モニターごしに兄であるシュナイゼルと向き合っていた。本国にいるシュナイゼルは、なぜか上機嫌だった。

リリィ、実はね、先ほど私たちの研究チームがフレイヤの実験を行ったんだが、成功したんだよ・・・!」
「・・・フレイヤ・・・・・ですって!?」

シュナイゼルの言葉にリリィは動揺した。
フレイヤにはサクラダイトが使われており、爆発すれば全てのものを完全に消し去ることのできる兵器。しかも使用時は、爆発やそれに伴う爆風など一切起こらず、使用後の放射能などの汚染も一切ない。生まれた力の空間が、目的のものだけを完全に消し去ることのできる兵器。まさに戦争では、理想の兵器・・・。

「これから戦争は変わるよ。君たちにももう、苦労させなくなると思うしね。」

にっこりシュナイゼルは微笑んだ。そんな彼にリリィは瞳を伏せた。
戦争が変わるより、この世界が変わって欲しかった。リリィやライ、そして母やナナリーが望む平和な世界。そんな世界は来ないのだろうか?

「お兄様、戦争のない平和な世界って、いつ訪れるんでしょうか・・・?」

彼女の深い意味を含んだ言葉に、シュナイゼルは瞳を伏せた。

「・・・あぁ、リリィ。私は君を悲しませてしまったね。フレイヤの実験成功に少し舞い上がってしまっていたようだ。もちろんフレイヤは、兵器として開発されても使わないようにするから。私だって、フレイヤを使うことは心が痛むからね。リリィ、この戦争が終われば、きっと平和な世界がくる。だからそれを信じて今は、一緒にこの悲しみを乗り越えていこう・・・。」

そう言うのなら、どうしてフレイヤなんか開発するの?

不意に生まれた言葉を、彼女はすぐに飲み込んだ。
シュナイゼルはこの1年間、フレイヤに力を入れていた。さっき浮かんだ言葉は、そんな彼を否定してしまう言葉。
シュナイゼルに気づかれないように、リリィはとっさに話題を変える。ふと脳裏に浮かんだ、自分の父へと。

「あの、突然だけどお兄様・・・。私なんだか、最近お父様が分からないの。昔優しかったお父様は、お母様が亡くなってからすっかり変わってしまった気がする。今のお父様はなんだか怖いわ。何を考えているのか全く分からない。この戦争だって、話し合いだけで解決する国がいくつもあるはず。それなのに進軍だなんて・・・。」

確かにブリタニアは、昔から常に戦争していた。けれども、母であるクラエスが生きていた頃は、今ほど戦争はなかった。話し合いで解決したことも多くある。エリア7だってそうだ。
アルビオンは話し合いでブリタニア傘下となり、エリア7と名前を変えた国。ブリタニア皇帝も、昔はリリィのそばで、もっと穏やかに笑うことのほうが多かった。

「きっと、お母様の死が、お父様を変えてしまったんだわ。」

シュナイゼルは彼女の言葉に口をつぐんだ。リリィの言うとおりかもしれない。
考えてみれば確かに、全てはクラエスの死から始まった。リリィがブリタニアを離れたことも、ルルーシュとナナリーが日本へ行ったことも。
無言の中、シュナイゼルの部屋にノック音が響き、部下のカノンが入ってきた。

「シュナイゼル様、リリィ様とお話のところ申し訳ありませんが、そろそろ会議のお時間です。」
「・・・あぁ。そうだったね。」

ちらりと時計を見ると、あと数分で始まりそうだった。宰相である自分がいなければ、会議が始められない。
シュナイゼルは優しく笑って、リリィに言った。

リリィ。確かにブリタニア皇帝は変わられたかもしれない。でも大丈夫。戦争が終わればきっと、皇帝は昔の皇帝に戻られるよ。だから今は信じよう。平和は必ず、訪れるとね・・・。」
「はい、お兄様・・・。」

リリィの返事を聞いて、シュナイゼルは満足げにうなずいた後通信を切る。
パソコンの画面がいつもの画面に戻ったとき、彼女は小さくつぶやいた。

「でもお兄様、信じるだけじゃダメなこともあるんですよ・・・。」



* * *



リズの友達であるU.U.としばらく一緒に過ごし、ライは彼と打ち解けていった。
U.U.はライと同じ年齢でありながらも、いろんなことを知っていた。まるで生きてる辞書みたいだった。そして世界のこともよく知っている。あの国の王はどうだとか、他の国の民はどんな生活をしているだとか・・・。
二人が仲良くなり、お互いを深く理解しあった頃、リズのいない場所でU.U.は言った。

『ねえライ。アストリア皇帝に対抗する力が欲しいなら、僕が君に力をあげよう。その代わり、君は僕の願いを叶えて欲しい。』
『U.Uの願い?その願いって何だ?』

ライの隣に座っていたU.U.が立ち上がる。少し前に出て、小高い丘からアストリアを見ながら言った。

『ライ、僕と一緒に生きて欲しい。僕は他人に望む力を与えることができるけど、人の道から外れてるんだ。僕は死ねない。年もとらない。だから僕は、この姿のままいつも一人だった。親しくなった人は、みんな時の流れに消えていったよ。友人の死をこの目で見るほど辛いことはない。だからライ、僕と一緒に生きてくれ。僕はどんなことがあっても、君から離れたりしないから。』
『・・・それはつまり、力の代償として僕にも不老不死になれということなのか?』
『そうだ。』

U.U.はライを振り返る。その眼差しは真剣だった。彼の綺麗な緑色の瞳は、悲しみに染まっていた。U.U.はどれだけ親しい人の死を見てきたのだろうか?
死ねなくなるとはつまり、母やリズの死を見ることになる。U.U.のようにたくさんの時代をこの足で歩いていくことになる。世界が終わろうとも、自分は終われない・・・。それでも、この国を平和にできる力がもらえるというのなら・・・。母やリズが、幸せに暮らせるというのなら・・・!

『U.U.、僕はこの世界を、僕たちが生き続ける価値のある世界にできるだろうか?』
『できるよ。きっと。だって君はこの世界を平和にしたいと思ってるでしょう?』

U.U.が優しく笑った。その笑顔を見て、ライも立ち上がり彼の隣に立つ。それがU.U.に対するライの答えだった。
U.U.はライの手を取ると、ゆっくり自分の胸元へ引き寄せる。そして小さく言った。

『これは王の力。この力はギアスという。これで君は、アストリア皇帝を倒せる。それだけじゃない。ライはこの力で世界を平和にできるんだ。だだし王の力は君を孤独にする。けど大丈夫だ。僕がずっと、君と一緒にいるから・・・。』

U.U.の言葉が消えた瞬間、ライには一瞬の痛みが訪れた。瞬間的に見えた青い世界も。その世界はすぐに消え、気づいたときにはU.U.の笑顔があった。
しばらくして、アストリア帝国にたくさんいたライの兄や弟たちが死んでいった。戦争で死んだ者もいれば、自ら命を絶った者もいたし、行方が分からなくなった者も何人かいた。
アストリア帝国の皇位継承者がライただ一人となったとき、皇帝は突然ライにその王位を譲った。そしてライの王位継承式が終わってから数日後、彼の父親は自殺した。それは偶然ではなく、ひそかに作られた事象。ライのギアスの能力は、絶対遵守の力。ライはその力を使って、兄弟や父までも葬り去った。すべては国を手に入れるため。誰もが幸せに生きる、平和な世界を作るために。
けれども・・・・。

平 和は 長く は続 かなか った 。




祖国もなく つかえるべき王もなく ひどく勇敢でもなかったから
私は戦争に出かけて死にたいと思った だが 死は私をのぞみはしなかった
(ポル・ヴェルレーヌ)



カテゴリー:  IC

★更新履歴★

18.08.17
刀剣乱舞 短編1つUP!(山姥切国広)
 




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