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桂樹

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審神者が風邪をひいた日

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ある寒い日の翌日、審神者である美奈は風邪をひいてしまった。
原因は前の日に何人かの刀剣男士たちと遠征に行ったこと、
そして遠征先で無理して戦ったことによる体力消費のせいだった。

ピピピ・・・と告げる体温計の液晶部分には今、『38.0度』の文字が表示されている。
彼女のそばで正座をしていた燭台切光忠が、美奈からひょいっと体温計を取り上げた。

「・・・高熱だね。これは熱が下がるまで、おとなしくしておかないと・・・」

「でも、まだ本部に提出するレポートが残ってるんだけど・・・」

「それは元気になってからだよ、美奈。僕は少し、他の刀剣たちと話してくるよ。
このまま僕たちの姿を顕現させ続けるのは、美奈にとってもしんどいだろうからね。
誰が刀に戻って、誰が人の姿のままで待機するのかを相談してくる。」

そう言って、光忠は静かに美奈の部屋を出ていった。
刀剣男士を人間の姿に顕現させているのは、審神者の力が関係している。
風邪をひき、体力が落ちている美奈の力を刀剣男士の顕現に当てるべきではないと考えた光忠。
美奈の風邪が治るまでは数名の刀剣男士をもとの刀の姿に戻し、残った数名は本丸の警護にあたることを提案するため、他の刀剣男士が集う部屋を訪れる。

「・・・・ということなんだが、みんな、誰が残って誰がもとの姿に戻るか意見をくれない?
ちなみに僕は、美奈におかゆを作ってあげたいし残りたいんだけど・・・・」

おおまかに説明し、刀剣男士たちの顔を見回す光忠。
先に口を開いたのは鶴丸だった。

「そうだな。うまい飯の確保は必要だ。あとはある程度、太刀が残ったほうがいいだろう。
本丸が奇襲された時、戦力となるのは大きい刀だ。
しかし、太刀組は夜目が効かない。短刀や打刀も何人か残ったほうがいいだろうな。」

美奈の体力を考えて、多くは残れないだろう・・・。
大太刀も無理だろうな。顕現させておくのに、美奈の力をかなり使う。
太刀3人、打刀・短刀を合わせて3人の計6人くらいだろうな。」

静かに三日月宗近もそう言った。
この本丸で長く一緒に戦っているぶん、お互いのいいところ、悪いところをよく知っている刀剣男士たち。
結局話し合いで、燭台切光忠・三日月宗近・加州清光・薬研藤四郎・大和守安定は残ることに決まった。
あと一人を決めねばならない。

「・・・・俺はやはり、石切丸がいいと思うんだが。」

不意にそう言った三日月宗近。その言葉に石切丸が顔をあげた。
大太刀である彼を顕現させるためには、審神者の力を多く使用する。
彼はおとなしく、普通の刀の姿に戻るつもりだった。

「しかし私は大太刀だ。美奈の力をかなり使う。それでは意味がないのでは?」

「いやいや。それがあるんだなぁ・・・・。
石切丸は美奈の近侍で、初期刀だろう?残るべきだって。
そっちのほうが、美奈の回復も早い。」

意味ありげに、にまりと笑う鶴丸。この場に居合わせる刀剣男士たち全員が、石切丸を見てうなずいた。
そこまで後押しされてしまっては、引くに引けない。
石切丸は苦笑を浮かべ、宗近の提案にうなずくのだった。


* * *


夜も更けた頃、石切丸は美奈の休む部屋を訪れていた。
彼女と一緒に布団に潜り込み、優しく抱きしめていた。

「・・・どうやら、私と美奈がこういう仲であることは、みなにバレているらしい。」

「そう言われるとなんか恥ずかしいけれど、みんなに応援されてるってことじゃないの?」

赤い顔の美奈は、優しい眼差しの石切丸を見つめた。
二人が恋仲になったのは、もうずいぶん前の話。
今までこっそり隠してきたけれど、みんなにはすでに、バレてしまっていたらしい。

「そういうことにしとこうか。
・・・ということは、これからは堂々と皆の前で美奈とべたべたできるということだ。」

「ちょっ・・・それはダメ!私は審神者なんだから!」

「戦場でも、堂々と美奈を守れるということでもあるね。」

「だから・・・・っ!」

「その前に今は、美奈の風邪を私にうつしてもらって、君に元気になってもらわないとね。」

にこっと笑った石切丸は、抗議する美奈の唇を己の唇で捕まえる。
優しいキスから、激しいキスへと転じていく。
夜は更けるばかり。
次の日にはもう、彼女の風邪は治まり、
本丸で美奈にべたべたくっつく石切丸が目撃されたとかされてないとか・・・・。




審神者が風邪をひいた日



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