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#43




リリィが操るアカシャは空中に漂って、ただその戦況をじっと見ていた。
星刻が操る神虎と戦うトリスタン。中華連邦と戦う黒の騎士団のナイトメアたち。そして、空を駆け巡り火花を散らすランスロット・クラブと斬月。彼女はそっと、瞳を伏せた。戦いを終わらせると言って出てきたものの、どうすればいいのか分からなくなった。
ブリタニア軍は中華連邦の要請を受け、反乱軍と黒の騎士団の殲滅を行っている。反乱軍は天子を取り返すために黒の騎士団と、そして腐った大宦官たちを打ち砕く為、両者と戦っている。

「中途・・・半端ね、私の立場は。どこについていいか分からない。私はブリタニア軍なのに、カノンさんやシュナイゼルお兄様の命令に逆らって・・・。でも・・・。」

すぅ・・・っとリリィは息を吸って、鋭い目で前を見据える。そのまま小さく、自分に言い聞かせるように言葉を紡いだ。

「私は、私の思ったことをやる。」

それがたとえ、ブリタニアを裏切ることになろうとも・・・・。

彼女はそう思い、攻撃を避けながら戦いで負傷したナイトメアたちを回収していく。そんな彼女の行動を、藤堂は斬月を通して見ていた。ふっと小さく笑うと、向かってくるランスロット・クラブの攻撃を避けながら機内で呟く。

リリィ君、君は・・・優しくなったな。だが、甘いだけでは生きていけないのも事実だ。」
「はああああああああああっ!覚悟っ、藤堂さんっ!」

ガチンと、激しい音を立ててランスロット・クラブのツインMVSが斬月の剣と交わる。しばらくつば競り合いが続いた。ナイトメアを操る技術はほぼ互角だった。
二機がつば競り合いをしている時、ふいに藤堂の目に別の機体が映った。ランスロットとそっくりな機体・・・ランスロット・コンクエスター。デヴァイサーは枢木スザク。ランスロットが剣を抜いたのを見て、藤堂とライは鋭く叫んだ。

「邪魔をするな枢木スザクっ!私の相手はお前ではないっ!」
「スザクっ、藤堂さんは僕の相手!君じゃないっ!」
「えっ・・・・?」

同時にそういわれて、ランスロットは空中で止まる。
ランスロット・クラブと斬月は瞬く間に空高く上っていった。戸惑うスザクはじっと藤堂とライの機体を見ていた。そこに、聞きなれた声が無線を通して聞こえてくる。

「あっ・・・アーニャちゃんっ!だめぇぇぇぇぇぇ――――――――っ!」
リリィっ!?」

振り返ってみてみると、今にも小型ミサイルを撃とうとしているモルドレッドと、反乱軍の楯になって彼らを守ろうとしているアカシャの姿があった。スザクは焦ってアカシャのところへ行こうとするが、敵のナイトメアに進行を阻まれる。

リリィ――――――――っ!アーニャ――――――――っ!」
「反乱軍は、殲滅・・・・」

アーニャはそれだけを言うと、操縦桿についているボタンを押した。アカシャはシールドを張り、反乱軍のナイトメアの盾となったが、かばいきれなかった一部はものすごい速さでLOSTしていった。

「ブ・・・ブリタニアの機体が、我らを・・・?」

アカシャにより守られた反乱軍たちは戸惑いを隠せない。
そのうち彼らには三方に分かれて討ち取れという命令が入る。モルドレッドに攻撃をし始めた機体に気付いたリリィは、叫びながら彼らの武器を破壊していった。けれども全てを破壊することなどできない。

(ダメっ・・・一人じゃとても、戦いを終わらせるなんて無理だよ・・・)

操縦桿を握りながら、リリィは悔しそうに唇をかむ。その間にもモルドレッドの小型ミサイルは発射され続け、中華連邦、ブリタニア、黒の騎士団、反乱軍の戦いは終わることがなかった。
不意に何かの予感がして、リリィは顔を上げる。そこで初めて気付いた。甲板で白いドレスがはためいている。それを無数のガンルゥが狙っている。星刻が叫びながら神虎を急降下させていく。神虎は天子の盾となり中華連邦の攻撃を受け、ボロボロになっていった。直後、爆音が響きわたり、大地を振るわせ無数の煙が視界を覆った。これには全ての機体が戦いを中断する。
藤堂と戦っていたライは、空に浮かんだまま、煙が晴れるのを見ていた。白い煙が晴れたとき、彼の目は大きく開かれた。見たこともない機体が、神虎の前で停止している。

「な、何なんだ?あの機体っ。無数の攻撃を受けても無傷で・・・しかも天子様も神虎も守った!?」
「中華連邦、ならびにブリタニアの諸君に問おう。まだこの私と・・・ゼロと戦うつもりだろうか?」

その言葉に驚いたのはリリィやライだけではない。スザクもそのうちの一人だった。
ゼロが最前線に出てくるなど、考えてもみなかったのだ。しかもナイトメアに乗って・・・。ゼロの乗る機体には、すぐに攻撃が加えられたが、彼は攻撃を全てはじく。新たなナイトメアには赤く輝くシールドが張られていた。
ライとリリィがゴクリとつばを飲む。そのシールドを、間近で見たことがあったから。昔、エリア7で生まれた赤い光。

「そんな・・・。これはエリア7で開発されていた、ドロイドシステム・・・?」
「うそ、でしょう?だってあれはまだ、ガウェインに試験的に搭載されたシステムで・・・」

ドロイドシステムはもともと、最先端技術を持っていたエリア7――――― アルビオンが開発したシステム。それを最近、ガウェインというナイトメアに試験的に搭載されたことも知っていた。
シールドを張ったあと、黒い機体が何か小さな動きを見せる。2人はすぐに嫌な予感を感じ取った。ライはインカムを押し当ててから、全ての回線を開いて叫んだ。

「ブリタニア軍、及び中華連邦、反乱軍は防御体勢をっ!じゃないと、おそらくみんな死ぬぞっ!」

彼がそう叫んだ直後、一筋の光が放たれ、多くのナイトメアを飲み込んでいく。
シールドを張っていたモルドレッドでさえ、機体が酷く傷ついた。アカシャやランスロット・クラブもシールドを展開して数機のナイトメアの盾になったので、ところどころが損傷する。

(エンジェルズ・オブ・ロード・・・。攻撃を読んだのか?ふふふ、やはり侮(あなど)れないな。)

ルルーシュは傷ついた羽を持つ二つの機体を見つめ、口の端を少し上げる。そして、ボロボロの神虎に乗った星刻へと言葉をかけた。結局、お前が組む相手は俺しかないと。逆に星刻は尋ねた。そのナイトメアでこの戦況が変えられるのか?・・・・と。ルルーシュはすぐに笑って答えた。戦況を変えるのはナイトメアではない。結局は・・・・人なのだ。
ルルーシュが声を上げたのとほぼ同時に、中華連邦の各地で人民が暴動を起こしたという知らせが入る。セシルがすぐに、ゼロと大宦官たちの通信が流されたことを突き止めた。シュナイゼルは映像を出すように命ずる。それはリリィやライの機体にも通信で送られた。

『天子などただのシステム。代わりなどいくらでもいる。』
『残された人民はどうなるっ!?』
『ゼロ。君は道を歩く時、蟻を踏まないよう気をつけて歩くのかい?主や民などいくらでもわいてくる。虫のようにな。』

通信を聞いて、リリィは口元を押さえ小さく言った。

「酷い・・・。」
「ああ。そんな考え、腐ってる・・・・。」

ライも静かな怒りの炎を灯らせて、リリィへと囁く。リリィは一度目をつぶり、数回首を振ったあとライに告げる。

「ライ、ここはもう引きましょう。きっとシュナイゼルお兄様も、同じ判断をすると思う。国は結局、人で成り立ってる。あとは・・・人民を考えることができる人たちに判断を任せましょう?」
「そうだね・・・・。」

2人は鋭い目を大宦官たちのほうへ向けたまま、機体を上昇させる。シュナイゼルはそんなリリィとライの行動を見て、「ふむ。」と意味ありげに声を上げた。

「エッ・・・エンジェルズ・オブ・ロードが撤退していきます!」

ナビゲーターの言葉と同時に、ルルーシュが不敵に笑う。

(やはりな。そういう判断に出たかエンジェルズ・オブ・ロード。人のことを第一に考える彼らだからこその答え。エンジェルズ・オブ・ロードがこの判断をとったということは、シュナイゼル兄上も・・・。見捨てられたな、大宦官たちよ・・・・。)

暴動が起こったというニュースが流れてからそれを境に、黒の騎士団たちは一気に畳み掛ける。朝比奈は周りの中華連邦の機体を破壊し、藤堂も目の前にいるランスロットに攻撃を加えた。スザクは剣を抜いて応戦する。C.C.が操る暁は、モルドレッドの機体へと攻撃を仕掛ける。千葉もそれに参戦した。しかしシールドで覆われたモルドレッドは、何の攻撃も受けていない。

「さすがに・・・・硬いな。」

C.C.が苦笑してそう告げたときだった。何かが共鳴するように空気が歪む。頭がかち割られそうになるくらいの痛み。
情報が頭の中に流れ込んでくる。ルルーシュとナナリーの記憶。マリアンヌの記憶。そして―――――――― クラエスとリリィの記憶も。

「まさかっ・・・そんなっ。そういう、ことだったのか・・・・!」

ドクンと、大きく心臓が音を立てて脈打つ。

「なに、こ、れっ・・・・!」

それはC.C.だけではなく、アーニャにも影響を与えた。そして、もう2人・・・・。
アヴァロンへと向かって飛んでいたライとリリィは、何かの感覚に襲われ、後ろを振り返った。直後、獣が鳴くような音と、頭を締め付けられる痛みに襲われる。

「や、だ・・・あたまが・・・・いたいっ!」
「くっ・・・・なんだっ、このっ・・かん、かく・・・・・・っ。」

動きが止まったモルドレッドの隙をつき、朝比奈がフロートにダメージを与える。アーニャがハッと気付いたときには、モルドレッドは地面にめり込んでいた。

「アーニャっ!」
「こちらトリスタンっ。モルドレッドのカバーに入るっ!」

アーニャが落とされたことにより、スザクとジノは大きく叫んだ。そして戦況が変わる。
急に頭を締め付けられる感覚がなくなったリリィとライの2人は、肩で息をしながら再び操縦桿を握った。アカシャとランスロット・クラブを地上に降ろし、周りを見渡せば、地面にめり込んだモルドレッドが視界に入る。それを援護するトリスタン。藤堂とつば競り合いを続けるランスロット。そして、押し返すように出てきた黒の騎士団の地上軍。

「シュナイゼル・・・お兄様・・・もう――――――――」

リリィの小さな呟きに、じっと考えていたシュナイゼルは口を開いた。彼は答えを出した。リリィと同じように考えて・・・・。

「ここは、撤退する。国とは領土でも体制でもない。人だよ。民衆の支持を失った大宦官に中華連邦を代表し、わが国に入る資格などない。」
「イエス・ユア・ハイネス。」

シュナイゼルの判断に、ナイト・オブ・ラウンズの他、全てのブリタニア軍が従った。
リリィはアヴァロンへと戻ってくるブリタニア軍を見て、ほっと胸を撫で下ろす。ふいに、視界がブレた。

(なんだか・・・疲れた。)

彼女は不意に訪れた疲労感から、体をシートに深く沈ませ瞼を閉じる。やがて彼女は、意識を白い世界へと手放した。
リリィが気を失ったころ、大地にたたずむランスロット・クラブの中でも、ライが息を荒げている。

「うっ・・・・!」

急に訪れた目の痛みに片方の瞳を押さえると、赤い液体が流れ落ちてくる。コクピットのガラスに映った自分の姿を見ると、瞳にギアスのマークが輝いていた。まるで何かを主張するかのように。その瞳から、血が流れ出てくる。

(ギアスは、使っていないはず。なん・・・・で、だ?)

思い当たるのは、先ほどの頭痛。そう考えている途中、彼は意識を失った。





自由な大地の上に自由な民とともに立ちたい。
瞬間にむかって、おれは言ってよかろう、とどまれ、お前はあまりに美しい、と。
(ゲーテ)



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