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匂い立つ、好きな香り




「うわぁーん。ぐしょぬれだよ〜・・・」

カラカラカラと本丸の玄関が開き、審神者の美和が入ってくる。万屋に用事があるからということで出かけた彼女だが、帰り際、突然の雨に見舞われたらしい。
美和の帰りを待っていた近侍の国広は、脱衣所からバスタオルを持って来て美和に渡してやる。少々恨み言も付け加えて・・・。

「だから折りたたみ傘でもいいから持って行けと言ったんだ。今の天気は変わりやすい。」
「だって、ちょっとそこまでの距離だし、そんなに時間もかからない用事だったんだもん!」

国広からバスタオルを受け取った美和は、濡れた体を拭いていく。ぽたぽたと髪の毛から雫がこぼれ落ちるのを見て、国広はため息をついてタオルを奪い取った。

「まずは頭からふいていけばいい。そうすれば、余計な雫が落ちなくてすむだろう?」

少しがさつに、国広らしくガシガシと頭をふかれる美和。少し痛いくらいであったが国広の優しさも感じ取り、少しだけクスっと小さく笑った。その瞬間、ぴたっと国広の手が止まる。もしかして今の笑いを聞かれてしまい、へそを曲げてしまったのでは?・・・と美和は心配する。
おそるおそる視線を上げると、国広の顔は怒っていなかった。

「国広、どうしたの?」
「あ、いや・・・」

少しだけどもり、彼はそっぽを向いて早口で言った。なんとなく、顔も赤い。

「あんたの髪から甘い香りが漂ってきて・・・。匂い立つ・・・とは、こういうことを言うんだろうか・・・と。いや、今のは忘れてくれ。俺はもう行く。三日月宗近に呼ばれていたのを思い出した。」

ばさっとバスタオルを頭からかけられて、美和の視界は真っ白な世界に包まれた。

「けど、嫌いな香りではないな。むしろ好きな香りかもしれない。」

そういう小さいつぶやきも聞こえたような気がして、美和は慌てて頭にかけられたバスタオルを取ったが、国広の姿はすでになく、その場にはザーっと雨が屋根をたたく音だけが響いているのだった。



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