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#68


思い詰めた表情をしたスザクが、制服姿でどこかへ行こうとするのをリリィは見かけた。キュウシュウ租界で戦闘が始まっているのに・・・だ。

「スザク、わざわざ制服に着替えてどこかへ行くの?」
「うん。ちょっと・・・。行くべきとこがあってさ・・・」

そう答える彼の瞳の中に、何か憎悪のようなものが浮かんでいるような気がする。リリィは直感で、彼についていかねばと思った。スザクはたぶん、何かを隠している。

「あ、そうなんだ。あの・・・気をつけてね。こんな時だし・・・」
「大丈夫だって!君は本当に心配性だなぁ。僕、ナイトオブラウンズだよ?それに、ちょっと枢木神社に行ってくるだけだよ?ホントは黙ってようと思ったけど、君には隠し事、したくないから。」
「枢木・・・。あっ!スザクのお家の神社?」
「そうそう。こんな時だからね。自分のうちで、参拝しようかな・・・と思って。少し、考えたいこともあったし。それじゃもう行かないと!すぐ帰ってくるよ。」

少しだけスザクは笑って、そのまま行ってしまった。
リリィは咄嗟に騎士服のマントを外し、自分の部屋に戻る。クローゼットの中にしまってあったアッシュフォード学園の制服を手に取り着替えた。
携帯で枢木神社の位置を調べると、すぐに出てくる。なんだか悪いことをしているように思えたが、スザクのあの、憎悪を帯びた目が気になった。

(スザク・・・あなたが抱えてるその憎悪は、一体何?)

彼女はこっそり、スザクを追いかけ枢木神社に向かうのだった。


* * *


カゴシマ租界で、ブリタニア軍と黒の騎士団の戦いが始まった。ブリタニア軍はナイト・オブ・ラウンズ指揮下にある。
ブリタニアにとってこのエリア11を守り切れば、その他の皇族と軍隊が超合衆国連合になだれ込む。逆に、もし黒の騎士団がエリア11を取れば、他のブリタニア植民地が次々に決起する。いわばここが天王山。どちらも負けるわけにはいかなかった。他のナイト・オブ・ラウンズたちも最前線に出てはいるが、エンジェルズ・オブ・ロードは出ていない。

ライは屋上から、このずっと先にあるであろうカゴシマ租界のほうを見ていた。
8年前、この日本がエリア11となった時、もう戦うことはないだろうと思っていた。けれども今、再びここが戦場になろうとしている。ライが昔、アストリアを守ろうとした戦いと同じだ。ブリタニアも拡大した領土を守ろうとしている。ただ違うのは、昔この領土は、日本という国であったことだ・・・。日本人にとって領土の奪還は意味のあるもの。

「昔と同じようなものだな。人はどうしてこう、同じことを何度も繰り返すものなんだろうか。僕たちが望んだ、平和な世界。僕があのとき勝っていれば、何か違ったんだろうか?ギアスをうまく使いこなせていれば、もっと違う世界が作れたのかもしれない。」

(もう、終わった話じゃないか・・・。大事なのは未来への行動だよ、ライ。)

そう自分の中で呟きが聞こえた気がした。ライの中に生きるU.U.の言葉だったのかもしれない。

「そうだね、U.U.。もう僕は違う。あの頃のように逃げたりはしないよ。君との約束を果たすため。僕たちにとって・・・全ての人々にとっても、価値のある世界をみんなで一緒に作り上げるために、僕はこの戦いを終わらせる。だからU.U.、君も力を貸してほしい。もしこの世界が平和になったなら、一緒に旅に出て、世界の隅々を見て回ろう。」

胸に手を当てて目を閉じれば、懐かしく体暖かい感覚が全身を包み込む。きっとU.U.は笑っている。僕たちの手で、誰かの悲鳴も泣き声も罵る声もない世界を・・・。


* * *


シュナイゼルの作戦で、トウキョウに彼が留まり、この戦争は小さな紛争の一部にすぎない・・・ということを諸外国へ見せることとなった。「戦争はすぐに終結する」とナナリーを安心させるように言い、彼女の肩に手を置いた。けれどもナナリーの不安は消えなかった。その場にリリィがいなかったのも大きかったのかもしれない。いつも彼女と一緒にいるライの気配もなかったし、ジノやアーニャがいるのにスザクもいなかった。

(スザクさんやリリィお姉様はどこに行かれたのだろう?私が不甲斐ないばっかりに、リリィお姉様はいつも私を守ってくださる。総督として、私も自分で決めなければ・・・。私自身の生き方を。)

ナナリーがそう思っていた頃、リリィは枢木神社へと辿りつく。スザクの気配に注意しながらこっそり辺りを窺うと、神社をくぐった先にスザクともう1人、男性が立っていた。それが自分の知っている人物であったため、リリィは小さく声を上げそうになった。
スザクの前に立っているのは、アッシュフォード学園で同じクラスのルルーシュ・ランペルージだった。




中途半端なものを脱却し、全体の中に、良いものの中に、美しいものの中に、決然と生きるべく不断の努力をしよう。
(ゲーテ)


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