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赤が交じる


美和。」

自分の前を歩いていた彼女が、立ち止まって振り返る。
道の先を見に行くため、美耶子は安全な場所へ隠してきた。自分も残ると美和は言ったけど、俺は彼女を連れてきた。美和と、二人っきりになりたかったから。

「どうしたの?恭也。」

首をかしげる仕草。小動物みたいで可愛い。じっと俺を見つめる黒い瞳も綺麗だ。俺は美和の全部が好き。だから絶対、美和とは離れたくない。彼女を・・・死なせたくない。

俺は持っていた火かき棒の先端を、手のひらに突き立てた。美和が息を飲むのが分かった。
手のひらから、赤い血が流れる。ぽたりと落ちた滴が、足元にたまる赤い水と混ざった。

「恭、也・・・?」

小さく名前を呼ぶ美和の手をとる。
白くて、綺麗な手のひら。
温かくて、俺を愛してくれる手のひら。

俺は同じように、美和の手のひらに火かき棒で傷をつけた。プツッと音が聞こえてきそう。美和が痛みに顔を歪める。
彼女の手のひらから、何も混ざってない血が流れた。美和の顔を見て、笑いかける。

美和、お前と離れるなんて嫌だから。俺だけが不死身なんて、そんなの嫌だ。だから・・・俺と同じになって欲しい。」

そのまま傷のついた手のひら同士を絡め合う。愛し合う時のように、ゆっくりと。
傷と傷が重なりあい、美和の綺麗な赤と、俺の赤が混じりあう。

「恭也・・・。大丈夫だよ、私はずっと、恭也と一緒にいるから。」

美和は笑った。自分勝手な俺に、文句一つ言わず。俺の血が混ざるとどうなるか、知っているはずなのに・・・。

美和、ごめんな。」
「ううん。いいの。恭也と同じになれたんだから。恭也、好き・・・。」

美和がそっと、目を閉じた。その仕草で、俺は抑えがきかなくなる。

美和を押し倒し、唇を重ねた。何度も何度も角度を変えて。時には激しく、時には軽く、ついばむように・・・。紡ぐ言葉は、彼女の名前ばかり。
唇を離したとき、美和が小さく呟いた。

「ありがとう、恭也。」

俺の下で、美和が柔らかく微笑んだ。
手のひらがさらに密着し、彼女の細い指が絡んでくる。あぁ、赤が・・・交じる。

俺と美和の赤・・・。

そして彼女は俺と同じになる。



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