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IC #11


仲間を助けるためならば、他の何かを犠牲にしてもよいのだろうか?
それを神様は許してくれるのだろうか?
いや………もう神など信じることはやめた。
神は最後の最後で自分を裏切った。
優しい世界を作りたいだけだったのに、神はそれを許さなかった。
それならば…………俺が神になると、ルルーシュは今ここで誓う。
母を救えなかった。妹の願いを叶えられなかった。
そして………大好きな笑顔を浮かべる少女の手を、あの時放してしまった。

「運命とは、自らの力で切り開くもの。そうだろう?リリィ………。」

ルルーシュは、遠い祖国にいるはずの少女の名前を呼んで、仮面をかぶる。
その少女が、今からルルーシュの向かう先にいるとも知らず。

結局、ギルバートは時間ギリギリまでゼロを待ったが、彼は姿を現さなかった。
見捨てられたと、玉城たちは思い唇を噛みしめる。
ナイトメアに乗っていたリリィとライの二人も固く拳を握る。
自分たちがゼロを………ゼロさえ捕まえれば、裁きを受けるはずのイレブン256名をまるまる引き取ることができるのに………。
悔しそうな二人の眼差しの先で、ブリタニア軍のナイトメアがギルバートの合図を聞いて銃を構える。

もう駄目だ………。

誰もがそう思った時………。

「間違っているぞギルバート。」

あの、独特な低い声が響く。
ギルバートが声に反応して後ろを向くと、確かにその姿はゼロそのものだった。
周りで兵士たちが「ゼロだ!!!」とうるさいくらいに騒ぎ立てる。
そんな中、リリィは眉をひそめてナイトメア越しに彼の姿を見た。

何かがひっかかる………。

どうして彼はあんなに堂々としているのだろう?
今の彼の周りは敵だらけ。
カリスマ性があるとうたわれたゼロが、仲間を助けるためだけにこんな危険な賭けをするだろうか………?

「ねぇリリィ。あのゼロが単騎で敵地に飛び込むようなことをするとは思えないんだけど、君はどう思う?」

ふと、回線が開いてライの声が聞こえた。どうやらライもリリィと同じことを考えてたようだ。
彼の意見にリリィはうなずいた。

「私もそう考えていたとこよ。何かありそう………。ライ、不測の事態に準備して!!!」

彼女はそう言ったあと、アカシャの翼を広げた。ライも同様にランスロット・クラブの翼を広げる。
翼を動かす生きた細胞は好調の動きをみせている。もしこの細胞がだめになったら、機体は飛べない。
より速く、複雑な飛び方をするにはこの細胞が必要なのだ。

「これから嫌なことが起きなければいいけ…………ッつ!!!」

ランスロット・クラブの翼チェックをモニターで行いつつ、呟いてる瞬間だった。
突然の激しい頭痛に襲われる。まるで頭をガツンと殴られた感覚。ライはこの感覚を知っていた。
これは………近くで誰かがギアスを使用したときの感覚。特に今回は酷い。
ギアスそのものが暴走していて、共鳴というよりも圧迫感。
ロロのギアスでも少し頭痛がするが、今ほどじゃない。

「うっ、リリィ…………」
「ライ………?どうしたの!?さっきと声の調子が………」

リリィが彼のナイトメアに滑って行こうとした時、地響きがして、いきなり大地が大きく揺れた。

(地震………? )

リリィがそう思った直後、コンクリートで覆われた大地がぱっくり割れ、持ち上がってゆく。
まるで蛇が首をもたげるように………。どこかで見たような光景に、彼女はハッとした。
先の戦いと同じ作戦………。

「これはっ………!!!ライっ!!!」

彼女は叫んでアカシャのペダルを一気に踏み込んだ。同時にコントロールレバーを引く。
ふわりとアカシャが持ち上がったかと思うと、翼をはためかせ空へと飛んだ。
ライの乗るランスロット・クラブもあとをついてくる。
コクピット内では、頭痛のおさまったライが大きく目を開き、下の世界で起こっていたことをただ呆然と見ていた。

「この前の作戦と同じ………。だけどどうやって?このシステムを管理してるのはブリタニア軍だし………あっ!!!」

気付いたように彼が小さく叫ぶ。

さっきのギアスの共鳴。
ブリタニア軍が管理してるはずのシステム。
行きつく答えは………。

「ゼロ………君のギアスは、人を操るギアスなんだね。僕と同じギアス能力………。」

静かにライは目を閉じた。

忌まわしいギアス。

聴覚を介して命令すれば、相手は必ずその行動を起こす。
それが彼の、ライ・ルシフェルのギアス能力だった。他にもいくつかあるのだけれど………。

「こんな……だってこのシステムは………。」

呆然としてリリィもこの状況を見る。
空を飛べる二人は被害を受けなかった。
だが飛ぶ能力がまだ備わっていない機体は綺麗に地面を滑り、下に落ちていった。
その時、リリィの視界にとある見慣れた機体が飛び込んできた。彼女はすぐに動く。
下にいるギルバートの機体が地面を滑り落ちそうになっていたから。
その光景を見て、リリィはいてもたってもいられなかった。

「あっ、リリィ!?」

声を上げるライに返事もせず、気付いたら彼女はペダルを踏みこんでいた。

「ギルバート様!!!」
「姫様……………くっ!!!!」

武器を地面に刺して彼は下に落ちないようにする。
地面はだんだん傾斜を増し、ギルバートの額にも汗が浮かんだ。

「ギルバート様!!!アカシャは飛べます!!!早くこの手を掴んでくださいっ!!!」

黒いナイトメアは翼をはためかせたまま腕をのばす。

「しかし姫様っ………!!!」
「こんな時に何ですか!?あなたがいなくなれば、下の者はどうすればよいか混乱するのですよ!?
まずはギルバート様が体制を立て直し、下の者に命令を与えてください!!!」

リリィに喝を入れられ、ギルバートの乗るナイトメアはアカシャへと手を伸ばした。
よくコーネリアに言われたものだ。
戦場で判断を誤れば、自分のみならず自分に仕える者までも命を落とすのだと。
それを1年前、イヤというほど思い知った。

「ギルバート、しっかりしろ。コーネリア様が戻られるまで軍を守るのは私しかいないんだ………。」

自分に言い聞かせるように、彼は小さく呟く。
彼の胸に住まうコーネリアが強く頷いた気がした。

「つかまえたっ!!!」

しっかりとアカシャとギルバートのナイトメアの手がつながれた時、リリィはほっとする。
あとは上に引き上げて、安全な場所へと連れて行けばよい。
細いため息を短くつくと、彼女はレバーを握る手に力をこめる。

「ギルバート様、今から…………」
リリィ様!!!」

リリィが彼に話しかけた直後、すぐにギルバートから声が上がる。
切羽詰った声だった。

「え?」

画面の向こうで息をのむギルバートを見つめるリリィ
彼がなぜこのような声をあげたのか分からない。
「何を…………」と言いかけた瞬間、アカシャの手は宙をさまよっていた。
今までアカシャの手を握っていた相手は地面を滑り落ちていく。全てがスローモーションに見えた。

リリィ様!!!ご心配めされるな!!!」

画面の中のギルバートはそう叫ぶ。そのままプツンと通信が切れた。

「ど、どうして!?」

何も理解できない彼女を次におそったのは、敵が接近している時のサインの音。
とっさにアカシャが身構えた瞬間、敵のハーケンが飛んだ。
パァーンとアカシャは飛んできたハーケンをはらう。

(どこからっ!?)

キョロキョロとあたりを見回すと、土煙の中からナイトメアの姿が見えた。
リリィは息を呑む。黒の騎士団が目の前にいる……………!!!
逆に、そのナイトメアに乗り込むルルーシュは眉をひそめていた。

(何だあのナイトメアは!!!翼に羽が生えて…………見たことがないナイトメアだ!!!)

ルルーシュはそのナイトメアを見た瞬間、直感でやばいと思った。
目の前にいるナイトメアを見ているとどうしてもスザクを思い出してしまう。

白い悪魔。

でも今目の前にいるのは…………

「黒い悪魔…………。」

知らず知らず彼はそうつぶやいていた。
その黒い悪魔を操っているのは昔、一緒に遊び、初めて恋をした相手ということをこの時のルルーシュは知るはずもなかった。
またリリィも、今目の前にいるナイトメアに乗っているのはルルーシュだということを知らない。
当たり前だ。彼女の中でルルーシュは、すでに死んだものだと処理されていたから。
リリィは回線を開き、相手に呼びかけた。

「お願いです、投降してください。私は戦争なんてしたくない………。」
「ならば我々を全力で逃がせ!!!」

ルルーシュは相手の声の若さに驚きつつもそう叫ぶ。

「それは……………無理です。だってゼロを捕まえれば、イレブン256人を助け出せるんです。
ゼロを捕まえたら256人をエリア7に連れて行くことができて、彼らは自由を手にいれられるんです。エリア7で彼らは日本人として暮らせる………。ギルバート様とそう約束しました。
だから…………ゼロの元へと私を案内してください。」

リリィは鋭く言い放った。
彼女の言葉にルルーシュは大きく目を開く。

(何だコイツは!?ただのブリタニア軍一般兵じゃない!?)

彼はリリィの言葉に動揺していた。
エリア7という懐かしい言葉。一緒に遊んでいた少女が、突然帰ったときの島。
そう。確かにあそこは自由の島………。
ルルーシュはその動揺を悟られぬようにすぐに言った。

「ふふふ……ははははは!!!だったらやってみろ!!!私がゼロだ!!!」
「………ゼロ!?」

リリィの心臓が大きく波打つ。
この人を捕まえれば………全てが終わる!!!

「分かりました。では、あなたを捕まえます………。」

スッとリリィは目を細めた。
そのままアカシャのペダルを踏み込む。武器を手に取り、ゼロの機体へとアカシャを滑らせた。
あと少し。あと少しでゼロの元へと到着する…………そんな時だった。
視界に赤いナイトメアが入り、リリィはとっさにうしろに飛びのく。

「あんたの相手はゼロじゃない。この私よ!!!あんたには悪いけど、ここで死んでもらうから!!!」

アカシャの目の前に立ちふさがったのは紅蓮弐式。紅月カレンだった。

「お願い!!!邪魔しないでください!!!私はもう、人を殺したくない!!!」

カレンとリリィがにらみ合う中、
ルルーシュは不敵な笑いだけを残してその場をあとにする。

「ははははは………ブリタニアよ、俺のほうが何もかも上なんだよ。戦略も人望もな!!!」

そうつぶやくルルーシュについてくる機体が1つだけあった。
ルルーシュは作戦通りだというふうにニヤリと口の端を吊り上げる。
その機体に乗るは自分の弟、ロロ・ランペルージ。

「来てしまったんだな、ロロ。」

寂しそうにそう言う彼のアメジスト色の瞳は、言葉とは裏腹に笑っていた。



生きるべきか、死ぬべきか。
(シェイクスピア)


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