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IC #12


ルルーシュのナイトメアを追うのは、偽りの弟であるロロ・ランペルージ。
彼の本当の名前は、ロロ・ルシフェル。リリィとライの弟だった。
ロロはいつも通り、首に下がっているペンダントを服の上から握り締める。

(ちょっとでもいいから力が欲しいんだ、姉さん…………。)

彼は顔をあげ、目を光らせた。
ロロはギアスを発動させようとする。もちろん、ルルーシュを殺すためだった。
だってルルーシュはウソをついたから。彼はロロに未来をくれると約束した。
でも結局………結局は約束を守らずに逃げるんだ………。

「やっぱり逃げるんですね。ルルーシュ。
僕に未来をくれると約束しておきながら、結局は僕にウソをついた。
任務さえ果たせば、未来はつながるんだっ!!!」

この任務が終わったら、機情から外れようとロロは思っていた。
機情から外れて、ライとリリィの元へいこうと決心してから数ヶ月。
今度こそ、あの二人の元へ………家族が一緒にいられる場所へ………。
人殺しは、これで最後に………。

ロロは瞳を細くした。
もしも彼を殺してしまえばC.C.の居場所は分からなくなってしまう。けれどもそれでよかった。
あとはヴィレッタがやってくれるだろう。
ヴィレッタがC.C.を引きずり出してくれるだろうと彼は思う。
ロロの仕事は、ルルーシュの記憶が戻った時、彼を始末することだから。
C.C.を引きずり出すことは仕事じゃないのだ。

「さよなら、兄さん………。」

ロロの瞳が赤く染まり、ギアスがまさに発動されようとした時だった。
けたたましい音が響き、ロロはその方向を向く。
その時にはすでに遅かった。

弾丸が鈍く光り、まっすぐヴィンセントに飛んでくる。
ヴィンセント内にいるロロは瞬時に計算した。
角度、距離、スピード。どうやっても逃げられない。
ロロのギアスは物理現象までは止められない。
止められるのは時間そのものではなく、そこに生きている人の体感時間。
だからもしここでギアスを使ってもどうにもならないことをロロは知っていた。

(しまった!!!物理現象は止められないっ!!!直撃コースだっ!!!)

大きく目を見開くロロの脳裏に浮かんだのは、ライとリリィの笑顔だった。
もしかしたらこの先に待つものは死なのかと、ロロは考える。
鉛の弾はもうそこまで迫ってきているというのに、彼の体は動かない。
ただ思うことは、もっと兄と姉に甘えていればよかったということ。

「僕は………こんなところで死ぬのっ!?」

思わずロロは叫んだ。まだ死にたくない!!!死にたくないのにっ!!!
恐怖に耐え切れず、ぎゅっと目をつぶる。
だが、このあと彼の前に広がったのは信じられない光景で………。

ヴィンセントの横をルルーシュの機体がすり抜けていき、ルルーシュはロロをかばった。
荒い呼吸を上げたまま、自分の機体の前に横たわり煙を上げる一つの機体。
まさか…………そんな……だってあの機体は………

「なんで……?なんで僕を助けて………」

おそるおそるロロが声を上げる。
どうして彼は自分を助けたのだろう?最初に思うことはその一つ。
だって自分がいなくなれば、ルルーシュは誰にも邪魔されずに己の野望がつらぬける。
障害が取り除けたはずだったのに………。
ガガガというノイズ音のあとに、弱弱しいルルーシュの声が聞こえた。

「お前が………弟だからだ。」
「僕が………弟、だから?でもだって………!!!」

僕はルルーシュにとって、偽りの弟で、ルルーシュと僕との記憶は偽りの記憶。

「たとえ植えつけられた記憶だとしても、お前が偽りの弟だったとしても、あの時間にウソはなかった。
俺はロロと一緒に過ごし、思い出を作った。ロロと、俺の二人の思い出だ。それは本当の時間………。」
「ぼくとにいさんの………思い出……」

ルルーシュに言われ、ロロの中に溢れかえってくる記憶たち。
一緒に料理をしたこと、一緒に勉強したこと、出かけたこと、ふざけあったこと。
その全てが本当の時間であり、思い出だった。
自分の命が大切だと言っておきながら、ルルーシュはロロを守ろうとしてくれた。
ライやリリィとは少し違った兄。
ロロにとってはルルーシュもやはり、兄であり、家族だった。
誕生日を祝ってくれて、おめでとうと言ってくれた兄―――――ルルーシュ・ランペルージ。

「そんなくだらない理由で………」
「約束したからな。お前の新しい未来。お前の未来は俺と――――――――。」

ロロの瞳が大きく開かれた。
ルルーシュは、約束を破ったわけじゃなかった………。



(自画自賛だが、俺もウソがうまくなったものだな。)

無言のロロの表情を想像し、ルルーシュは倒れた機体の中で声を殺して笑う。
音声だけの通信なのでロロの表情は見えないが、どんな顔をしているかなど手にとるように分かる。
きっと驚き、動揺しているはず。心理戦ではルルーシュのほうが遥かに上なのだ。
ロロに関する情報を残しておくなんて、機情のやつらも馬鹿だと彼は思った。

そう、ロロには肉親がいない。家族もいない。
たった一人ぼっちの、ギアスだけがとりえだけの少年。
いくらギアスを持っていても、中身はただの子ども。
両親に甘えられられなかったロロが固執するものは「家族」であり、「自分の居場所」だった。
だから彼はルルーシュからもらったロケットを取られることを嫌がり、ルルーシュを殺すこともためらった。

兄が祝ってくれた誕生日。初めてできた家族と自分の居場所。
それらを失うことを恐れる心。

ルルーシュはその心理を逆手にとったのだ。

(あと少し………あと少しでやつは……落ちる。)

にやりとルルーシュが笑った。だがそこにはルルーシュさえも知らない間違いがあった。

ロロは兄ができたのも、誕生日を祝ってもらったことも初めてじゃない。
家族ができたことも…………。

それを知らないルルーシュは、とどめの言葉を口にする。

「ロロ、お前は大事な家族だ。だから………失いたくない!!!」
「――――――――っ!!!」

ロロは口が渇いていくのを感じた。何も考えられない。
かすれる声で「にいさん。」と彼が言った瞬間、ルルーシュは「落ちた」と確信した。


***


紅いナイトメアはアカシャのスピードについてきた。
若干アカシャに押されつつもあきらめない紅蓮弐式の根性にリリィは手を焼く。

このパイロットはどれだけゼロを信じているのだろうか…………。
ゼロはそんなにも素晴らしい存在なのか?

リリィには分からなかった。
逆に紅蓮弐式を操るカレンも焦りを覚えていた。

相手のナイトメアは無駄な動きが一切ない。
常に紅蓮弐式の行動を予測し、前へ前へと出てくる。
あのナイトメアに乗っているのはどんな人物なのかとカレンは思う。
そしてナイトメアも、翼の生えたナイトメアなんて見たことがなかった。

(これは………新型のナイトメアなの?だったら――――――)

つ  ぶ  す  ま  で  。

カレンは強くレバーを握り、アカシャの腕を捕まえようとした。
リリィはとっさに回避して後ろへ跳躍する。そのまま叫んだ。

「ゼロのところへ行かせてください!!!私はあなたに用事はありません!!!」
「彼のところへ行きたかったら私を倒せばいいでしょうっ!?」

声の高さにカレンは驚く。
あのナイトメアに乗っているのは少女。おそらく、自分と同じくらいの年齢だと。
だけど今はそんなこと気にしてる暇はない。憎しみをこめて、彼女は大きく叫ぶ。
そうすれば、相手は動きを止め、悲しいほどまでの声で呟いた。

「………どうして命を粗末にしようとするのですか?
せっかくこの世界に生まれた命なのに………どうしてそうまでしてゼロに仕えるのですか?」

カレンには、相手が何を考えているのかが分からない。
ただただ悲しそうに、何かの答えを求めているような…………
いや、罰を求めているようにも聞こえたセリフが彼女の中にひっかかる。

どうしてゼロに仕えるのか…………。
それはただ、ゼロが―――――――

「………ゼロが私たちにとって、希望だから。
イレブンと虐げられ続けた私達に、ゼロが希望をくれた。立ち上がる力をくれた。
だからゼロは私達にとって………大切な指導者っ!!!
ブリタニアには私達の気持ちなんて分からないのよっ!!!」

そう大きく叫び、カレンはアカシャに突っ込んだ。
リリィは表情を歪ませ、収納してあった武器を手にとる。
皮肉にも、薙刀に似た武器。これでイレブンを斬りたくはなかった。
だけどこういう状況を生み出した根源は、8年前のリリィとライの行動だから。
行動には、責任をとらなければならない………。
今度は殺すのではなく、生かすために…………。

「そう……ですか。ゼロはあなた達にとって、素晴らしい指導者なのですね。」

薙刀を構え、リリィは呟く。この呟きがカレンに聞こえたかは分からない。
紅い機体の紅蓮弐式は確実にリリィに迫ってくる。
二人の距離がゼロになりそうなそんな時……………。

「そこまでだブリタニアの諸君っ!!!これ以上は武力介入とみなす。引き上げたまえっ!!!」

星刻の鋭い声が上がり、ギルバートは思いっきりナイトメアの壁を殴る。
ライは首を振り、ランスロット・クラブの翼を広げて空に高く舞い上がった。
リリィもほっと、胸をなでおろす。
今回の戦いは終わった………。
向かってきた紅蓮弐式を音も立てずに避け、薙刀の柄で軽く相手の機体を吹き飛ばすと、そのままライと同様に空高く舞い上がる。
この時彼女の赤い瞳に映ったのは崩れた大地と、仲間をかばいつつ逃げ去る黒の騎士団の姿だった。




その嘘のため、私の不幸の長い糸は いつまでたっても終わらない
(ロンサール)


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