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王子かもしれない


最近、刀剣男士たちの間で噂になっていることがある。
それは、一期一振が王子ではないのか?・・・ということだった。
燭台切光忠は言う。

「あの外見で、いつも崩さない笑顔。彼はどう見たって、女の子たちが騒ぐ王子様・・・でしょ?」
「そういえば、この前鶴丸が万屋から変な衣装を借りてきてさー・・・。なんでも、いち兄に着せたいんだってよ。」

彼と話していた薬研が、光忠にそう言った。
どんな衣装なのかと問えば、白っぽい軍服だと薬研は答える。
それじゃあ今の一期の衣装が、白くなっただけじゃないか・・・と光忠は苦笑した。

「・・・と、思うだろ?けど、違うんだよ燭台切の旦那!今から鶴丸に見せてもらいに行くといいよ!」

そんなこんなで、光忠は薬研と一緒に鶴丸国永のところへ行く事になった。
本丸の一室で、鶴丸は何かのお面を作っていた。どうやら、暇ではあるらしい。
薬研が例の衣装を見せてもらえないか頼むと、鶴丸は押し入れからそれを引っぱり出した。

「これこれ!一期一振にぴったりだと思うんだよなぁ・・・。」
「うわっ。何これすごい!よくこんなの見つけてきたね、鶴丸君。」
「まぁーな。常に驚きを求める俺の驚きセンサーが、万屋で働いたわけよ!」
「で、それをどうやっていち兄に着せるつもりなんだよ。いち兄、絶対着ないと俺っちは思う。」

二人の目の前であぐらをかく薬研が、確信を持った感じで言う。
その言葉に、二人とも「うーん・・・」と頭を悩ませる。
その時だった。ちょうど一期一振が鶴丸たちの部屋を訪れたのは・・・。

「鶴丸殿、少しよろしいですか?実は今度の遠征のことなんですが・・・って、薬研に光忠殿。こんなところで3人で何をしておいでで・・・」
「「「チャーーーーーンス!!」」」

3人同時に叫んだ時、一期の運命は決まった。
スパーンと障子が閉められ、一期は薬研と光忠によって、羽交い締めにされる。

「こ、これはどういう・・・・!?鶴丸殿!見てないで助けてください!」
「すまないな、一期。それはできない相談だ・・・」

にやりと笑った鶴丸を見て、真っ青な顔をする一期一振。
そのあと本丸に、彼の悲鳴に近い絶叫が響き渡った。



「・・・やっぱり、王子かもしれない。」

むすっとする彼の目の前で、鶴丸と薬研、光忠は小さく言葉を紡いだ。
そこには王子様スタイルの一期がいた。
今は怒った顔つきだが、これで笑顔を浮かべれば、さわやかな王子様の出来上がりだ。

「何も無理矢理着替えさせなくても、事情を話してくれれば快く引き受けたものを・・・」
「すまないすまない。薬研のやつが、お前のことだから絶対断るだろうって言っててさ。」
「まさかいち兄が快く引き受けるだなんて、思ってもなかったからよ・・・」

苦笑する二人に、プイッとそっぽを向いてしまう一期。
しかし何かを思いついたような顔をし、少しだけ笑った。
その笑顔が、いつもより怖く感じる。

「そうだ。いい機会ですしこの格好で少し、美和殿をエスコートして参ります。」
「な、何を言い出すんだい?」

光忠が焦った声を上げる。さらりとその言葉を、一期はかわした。

「王子かもしれないんでしょう?」

ぞくりとするほどの笑顔。一期のこの態度を見て、鶴丸が一つ確信した。

「もしかして一期、最初からそれが目的で・・・」
「何の事でございましょうな。では鶴丸殿、この衣装、しばらく貸していただく。」

そのまま一期は、鶴丸たちの部屋を出て行った。
部屋の外から他の刀剣たちの驚きの声が上がったと思うと、今度はこの本丸の審神者・美和の悲鳴が上がる。
3人はあわてて部屋の外を出て様子を伺うと、美和は一期によってお姫様抱っこされていた。

「いいいい一期!これは一体、どういうことでしょうか!?」
「他の刀剣男子たちが、私は王子かもしれないと言うもので、せっかくならばと王子様になりきってみたのです。今から美和殿はしばらく、私の姫君になっていただきたい。」
「そ、それは遠慮させていただきたく・・・」
「残念ながら、美和殿に決定権はありませんよ。さあ、私の姫君。二人で少し散歩に出かけましょうか。」

美和の言葉をも無視して、彼女をお姫様抱っこしたまま歩みを進める一期一振。
あの服は、一期に勇気をも持たせてしまうのか・・・と鶴丸は思ったし、普段弟の面倒見ばかりでストレスがたまっているんだろうなと、薬研は思った。
このあと美和は、一期にいいようにされたとかそうでないとか・・・。




王子かもしれない




ツイッターの創作bot様のお題です。

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