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IC #20


焼けた大地に、僕とリリィの二人は足をつけた。
僕たちがその罪に気付いた時、空はまるで僕たちの代わりにでもなるように、突然泣き出したのを覚えてる。
空の涙が僕たちの体を濡らす。頬を伝って落ちる水はとても冷たかった。
その時のリリィは、空の涙を全身で受けつつ、僕に向かって小さく呟く。

「ねぇライ、雨が私の血を洗い流す………。血だけが洗い流されて、そして私に残るのは『罪』と『罰』の二つだけ。
この二つは絶対に洗い流されないものなのね…………。もっと早く、気付けばよかった。
こんなことをしても意味がなかったってことに。どうやっても、あの人はもう、帰ってこない。」

なんて愚かな私たち………。

彼女はそう言って、涙を溜めて笑った。


***


ライは頭を押さえつつ、起き上がった。
一体どの記憶が消えたというのだろうか?自分でも分からない。
ふとリリィを見ると、彼女はスヤスヤと眠っていた。そう、今はゆっくり眠ったほうがいい。
眠って、そして忘れるんだ。学園でルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと出会った記憶。
学園で出会ったのはただの生徒会長、ルルーシュ・ランペルージ。今はロロの兄………。

ライは濡れたリリィの髪を拭き、服を着替えさせベッドへと運ぶ。
掛け布団を肩までかけると優しく額にキスしてドアへと向かった。
ギアスを使った反動で、頭がガンガンと痛む。
キィとドアを開け部屋から出ると、ライはそのままドアを閉めて背中を預けた。
身近な人にはギアスを使いたくなかった。そんなことがないようにと、これまでずっと気をつけてきたのに。
彼は小さく笑った。自分をあざ笑うかのように。

「…………ライ。」

突然名前を呼ばれる。
服を着替えたスザクが、心配そうに立っているのが分かるが、ライは彼を見なかった。
目を伏せたまま、ぽつりと呟く。

「彼女は大丈夫だよ。」
「どうしてそう言えるの?」
「……………。」

だってギアスで彼女の記憶を書き換えたから。

「きっと彼女はもう、ルルーシュを思い出さないよ。」

逃げるように言葉を吐き捨て、ライはスザクの横をすり抜けようとする。
とにかく少し、休みたい。赤い光と模様が先ほどから頭の片隅でちらつく。
それがとても気持ち悪く思えた。まだかすかにギアスが発動している感覚がして、ライは顔を伏せたまま。
今はスザクと目もあわせたくなかった。しかし彼の行動は、スザクの行動によって阻止された。
すりぬけようとするライの腕をいきなり掴むスザク。
「放せ。」と声を上げようとして、顔を上げた。ライの瞳を見たスザクが目を細めた。
彼は急に、氷のように冷たい目をライに向ける。

どうして………?

理由が分からなくて、ライはじっとスザクを見つめた。
彼はライの腕を掴む手に力をこめた。爪が立つほどに。

「スザク、放せ。痛い………っ!!!」

悲痛な声を上げても、スザクは腕を放そうとしなかった。
何かを憎むかのように、ますます力をこめ、ライを見る瞳は鋭くなっていく。
「スザクっ!!!いい加減にしろっ。」………そう叫び声を上げると、彼は冷たい瞳のまま言った。

「ライ…………君、ギアスを持ってたんだね。」
「どっ………どうしてスザクが、ギアスのこと、を、知って……るんだ?」

動揺したまま言葉を返せば、「君のような瞳、一度だけ見たことある。」と、スザクは答えた。
ライは自分の目を覆った。そうか、瞳にギアスが出ているのかとやけに冷静に答えに行き着いた。
スザクは彼の腕を放し、静かな声で淡々と語る。

「ライ………僕はギアスが嫌いだ。ギアスのせいで、沢山の人が死んでいった。
君は知ってるかい?黒の騎士団を率いてたゼロは……ギアスを持っていた。
そのギアスでユフィが死んだ。そのギアスで僕は――――――――生き残った。」

スザクがライに背を向ける。
ライも瞳を下に落として黙ったままスザクの言葉を聞いた。
そうか………やっぱりそうだったのか。
1年前、ゼロがいた頃の話。これまで他人のギアスなんて、ロロ以外に感じたことはなかった。
けれどもゼロが世間に現れるようになったとたん、激しくギアスを感じるようになった。
ゼロはギアスを持っているんじゃないか?という疑問は大きくなるばかり。
でもその確信がとれないまま、ゼロは消滅した。スザクの手柄によって………。

そういえば、つい最近エリア7が襲撃され戦闘になった時、スザクは死にかけたことがあった。
ライはその時スザクを助けるために彼の中に力を送り込んだ。
意識を集中させて彼の中に入ったとたん、激しいギアスの力に襲われたことを思い出す。
あれは………そう、『生きろ、スザク』と叫んでいた。
きっとそのギアスは、ゼロのかけたもの。そのギアスに、自分のギアスを吸収させた。
『死ぬな、スザク』と命令して…………。

「―――――そのギアスをかけたのはゼロ………そうなんだな、スザク。」

背中を向けたまま、スザクが一度だけ頷く。
静かな時間が流れ、再びスザクが口を開いた。激しい憎しみの炎を灯らせながら。

「ギアスなんてなかったら、ユフィも死ぬことがなかった。
ブラックリベリオンなんて起こらなかった。全てはギアスのせいだ。そんな力、この世界にはいらない!!!
ギアスなんて、人間を不幸にするだけだ!!!どうしてライはその力を持ってる!?
ギアスを持つ君なんて…………人を不幸にするしかない存在だっ!!!」

振り向くスザクの瞳は、憎しみに染まっていた。
ライはそんな彼の言葉を聞いて、辛そうに顔をゆがめる。
唇をかみ締めたあと、小さく笑って思った。

(自分では分かってたことだけど、改めて人から言われるとやっぱり辛いな……。)

ライは穏やかな表情を浮かべたまま、顔を上げる。
スザクはライを見て動揺した。どうしてそんなに穏やかな顔ができるのか?
それが不思議でもあり、逆に怖くも思えた。ライはスザクを見たまま言葉を発する。

「分かってるよスザク。ギアスを持つ僕は、人を不幸にするだけだ。
それはもう、イヤというほど経験してきたし、理解している。僕のギアスはすでに人の命を奪った。
たくさん、たくさんね。8年前の話だ。僕はこの力の怖さを知った時、死にたくなった。
でもリリィが言ってくれたんだ。」


「ギアスを持つことだって、悪いことばっかりじゃないと思うの。
クスリと同じよ。人にとって害を与えるかもしれないけれど、クスリにもなる。ギアスはそれと同じ。
ギアスで人を傷つけることがイヤならば、人のためになることに使えばいい。
ギアスを使うのがイヤなら、使わなければいい。
どうして死のうと思うの?どうしてもっと他のことを考えないの?
死のうと思うのなら、ずべての手段を試してからでもいいじゃない。
生きていればきっと、『ギアスがあってよかった』って思えることも出てくるかもしれないわ。」

だからどうか、生きて。



「彼女はそう言ってくれた。だから僕は生きた。僕は彼女に生かされたんだ。僕には昔の記憶がない。
どうしてギアスを得たのかも、自分が誰なのかも、どうやって生きてきたのかも分からない。
ただあったのは、罪の意識とギアスだけ。僕だって人を傷つけるためにギアスを使いたくはない。
だから僕は………リリィにもギアスを使いたくなかった。
けど、あのままじゃリリィの心は確実に………壊れていた。
スザクも見ただろう?さっきのリリィの姿を。彼女の心は強そうに見えて、実はすごく弱い。
ここ数年でリリィの心は随分強くなったけど、彼女はまだ、8年前の事件を引きずっている。」

ライはそこまで話して表情を硬くした。空気がぴしりと変わる。
スザクは自分の唇が渇いていくのが分かった。
8年前の事件とはなんだ………?
本国で会議があったとき、エンジェルズ・オブ・ロードの存在に異議を唱えた議員たちが、シュナイゼルの発した言葉で全員が押し黙った。
「お忘れですか皆様。あの時の彼らの活躍を………」彼はそう言っただけなのに。
震える声で、スザクはライに言った。

「8年前って………僕にはよく意味が分からない。僕が知っているのはただ、君たちが日本を潰したという結果だけだ。」

首を振ってスザクが答える。
ライは一瞬だけ瞳を伏せてから、くるりと彼に背を向けて言葉をかけた。

「いいよ、詳しく教えてあげる。8年前、僕たちが日本に対して何をしたか。
そして日本は、リリィにどんなことをしたか。彼女のことが好きなら、君も知っておくべきことだ。ついてきて。長い話になりそうだから、僕の部屋で話してあげるよ。」
「………………。」

スザクは黙って、ライの背中を追いかける。

8年前、二人は日本に何をしたのだろうか?

日本は二人に何をしたのだろうか?

どうして二人は、エンジェルズ・オブ・ロードなのだろうか?

自分の部屋に戻ってきたライは、スザクが部屋に入ると静かにドアをしめ鍵をかけた。
スザクはベッドに腰をおろす。ライも自分のイスに座った。
今の彼は騎士服ではなく、ラフな部屋着だ。

「スザク、君は日本人だから話の途中で怒りが湧き上がるかもしれない。でも、黙って聞いて欲しい。そのあと、怒鳴るなり僕を殴るなりすればいい………。」
「えっ………?」

ライの悲しそうな瞳にスザクは戸惑いを覚える。
どうしてそんな瞳をするんだ?そう聞く前に、イスに座る彼は話出した………。



反逆の 僕ら

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