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IC #26


スザクはまず、目の前の敵である紅蓮弐式を撃つ。コクピットの中で、友達だったはずの彼女の名前をつぶやきながら。今は友達だった人のことなんてどうでもいい。ナナリーとリリィを探すことが重要。スザクにとって、ナナリーとリリィの存在は大きいものだった。特にリリィは………。彼にとってリリィは、生きる目的だから。
彼女のそばにいることが、スザク自身の役目だと思っているから。それはルルーシュができなかったこと。ルルーシュよりももっともっと上に行きたい。
だから浮遊航空艦から落ちる紅蓮弐式なんて、気にも留めなかった。相手が空を飛べないことも分かっているし、助ける気もない。今は邪魔なだけ………。彼は、冷たい目で海へと落ちていく紅蓮弐式を見つめていた。

一方紅蓮弐式の中にいるカレンは、すさまじい重力の中で母の顔を思い浮かべていた。もしも自分が死んだら、病院にいる母はなんていうだろう。「がんばれカレン、私の大事な子」と言ってくれた母。もう、頑張れないよ………。だって紅蓮は空を飛べないもの。

「ごめんね、紅蓮弐式…………。」

そう呟いた瞬間、ラクシャータの姿が画面に映った。

「ベストポジションじゃない~♪」
「へっ?ラクシャータさん?」

何がベストポジションなのだろうか?そう考えているうちに、楽しそうにラクシャータがある言葉を口にする。
『黒の騎士団の秘密兵器』といい、予習はちゃんとしていたかと問われる。「はい」と答えれば、じゃあいってみようといわれるものだから、これから何が起こるのか頭が混乱した。
でも、生き残ることができるのなら。まだ戦えるのなら。ゼロが救い出せるのなら。カレンはラクシャータに賭けることにした。
カレンは紅蓮の機体を回し、飛んできた兵器と接続する。予習の時に見たものだった。空を飛べる兵器。ブリタニア軍はこれをフロートユニットと呼んでいた。さらに紅蓮の腕にもう一つの兵器が接続される。シールド。これで敵の攻撃が防げる。

「敵がどれだけいようと………。」

そうカレンはコクピットの中でつぶやいた。
ゼロを助けられるのは自分しかいないのだと言い聞かせ、カレンは紅蓮のフロートを起動させる。赤いフィルムのようなものが開き、紅蓮は海の上を飛んだ。

「この紅蓮弐式が通用しなかったら、おしまいね。」
「でも、やるしかないから撃ってみましょうか?」

そう神楽に言われて、カレンは鋭い目をした。
大丈夫、紅蓮ならやれると信じて。カレンはギルバートと複数の機体に向けて攻撃を開始した。赤い光が右腕から放たれ、ギルバートの機体以外が爆発を起こす。

「え………遠距離でっ!?」

突然きた攻撃に、ギルバートは焦る。ここで死ぬわけにはいかない!!!彼はすぐに回避行動を取る。幸い、ギルバートの機体は無事だった。一部破壊されただけ。自身は怪我を負ったが、幸い命の危険性はなかった。
カレンは次にナイト・オブ・ラウンズの機体を攻撃する。ジノとアーニャはすぐさま応戦した。スザクに「相手はジェレミアに勝ったことのあるパイロットだ」といわれ、ジノは面白そうだと思った。しかし相手はレジスタンス。果たして、どのくらいの実力なのか?
最初から本気でいくつもりはない。まずはハーケンを繰り出してみる。あっさりとかわされ、ジノは思わずつぶやいた。

「おいおい、ラウンズ並みの腕前か?」
「でも、これで………」

次にモルドレッドが紅蓮に標準をあわせる。火力ハドロン砲。これを受けたらひとたまりもない。カレンは大きく叫んで、火力ハドロン砲をギリギリでかわし、モルドレッドに一撃をかます。その衝撃で、アーニャがコクピットで鈍い声をあげた。

「あんたらは後回しっ!!!」

紅蓮はさらに二つの機体にトドメをさす。エネルギーを拡散させただけの攻撃なのに、機体がダメージを受けて動かない。
紅蓮が去ってから、少し怒ったような声でアーニャが呟く。

「何?あのナイトメア………。」
「いやぁ、パイロットでしょ?本気だしときゃよかった。」

ジノがアーニャに言う。彼はどこか嬉しそうな目つきをしていた。まるで新しいおもちゃを見つけたような。
紅蓮弐式はリリィと同じくらい手強そうだと彼は思う。しかし手強いほうが面白い。
リリィはシュミレーションでなかなか相手をしてくれないので、これからは紅蓮弐式がリリィの代わりになると思うと胸が踊った。願わくば、紅蓮弐式がすぐに潰されないでと思うジノは、少し不謹慎かなと自分で思い苦笑した。
ジノとアーニャがやられたのを見ていたスザクは、この状況でまだ向かってくるカレンに疑問を持った。そこで一つの答えが見えてくる。カレンにとって、ゼロは絶対の存在だった。もしかしたら…………

「ゼロが艦の中にいるっ!?」

それならば、なおさら早くナナリーを救出しなければ!!!でもランスロットに迫ってくる赤い敵は、そう簡単に行かせてくれそうにない。紅蓮から放たれたゲフィオンネットがランスロットを囲む。しかしその攻撃はすでに対策済み。

「それは対策済みだ。」
「でも、足は止まったね!!!」

紅蓮弐式はランスロットめがけてまっしぐらに飛んでくる。
白いナイトメア・ランスロットは剣に手をかけた。今はカレンと戦っている場合ではないのに………。邪魔をしてくるカレンがすごく腹立たしかった。あと数メートルで二つの機体がぶつかるという時――――――――。

「はあああああああああ――――――――っ!!!!」

黒い機体が紅蓮へと向かってくる。
カレンはちらりと瞳を動かし、ハッとした。このままでは紅蓮弐式と黒い機体がぶつかってしまう!!!避けようとするが、すでに遅かった。ガコンと金属と金属がぶつかる音。次にきたのは激しい衝撃。

(こんな時になによっ!!!)

カレンは本気でイラだち、相手を睨んだ。そして気付く。ナイトメアに生えた白い翼。先ほど戦ったあの機体。ラクシャータがくれたデータでは『第8世代特殊ナイトメア・アカシャ』と名称がつけられていた。ついにブリタニアは、第8世代のナイトメアまで開発してしまったということだろうか?しかし量産はされてない。まだ試作機?カレンはデータを見て思う。
アカシャと紅蓮弐式のにらみ合いがしばらく続く。スザクはそれを、一瞬驚いた目で見ていた。
翼が生えた黒の機体なんて、リリィが操る機体しかない。すぐに安心して、スザクは彼女の名前を呼んだ。

リリィ………無事だったんだ。通信が切れたから、すごく心配して………」
「心配かけたの?ごめんなさい。それよりも、スザクはナナリーを助けてあげて。私はこの、紅蓮弐式に用事があるから。」

そう言って、リリィはアカシャの武器である薙刀を手に取る。相手が攻撃してくると分かって、カレンも攻撃態勢に入った。リリィの言葉に合わせるようにして、セシルがスザクをせかす。
本艦墜落まで、あと47秒…………。
彼は真剣な眼差しで本艦へと向かい始める。そんなスザクに、リリィが一言だけ言葉をかけた。

「スザク、ナナリーを絶対助けてあげてね。」
「もちろんだよ、リリィ。」

彼はそういい残して、本艦へとランスロットを操作した。
去っていく白い機体を見つめたあと、リリィは冷たい声で呟く。

「さあ、私と遊びましょう?紅蓮弐式のパイロットさん?」


一方、ナナリーと対峙するルルーシュは揺れていた。
ナナリーをどうしても連れて行きたい。でもゼロの自分がルルーシュだと正体をバラすわけにはいかない。強引に彼女を連れて行くのも違う。ナナリーの意志を捻じ曲げたくはない。どうすればいいというのだ!?迷ってる間にも、この艦は傾いているというのに。
そんな時、壁から何かが突き破って庭園へと現れた。
白い機体。白い悪魔。今やナイト・オブ・セブンの地位にある昔の友達。瞬時にナナリーを迎えにきたと分かる。ルルーシュはためらいを捨て、妹の元へと走った。飛ばされそうになっているナナリーの手を掴もうと、彼は自身の手を伸ばす。しかし彼女から出たのは、ルルーシュの名前じゃなかった。

「スザクさん――――――――っ!!!!」

その名前は、ルルーシュにとって致命的な傷を負わせた。
ナナリーの呼んだ名前の人物は、自分を裏切った。かつてそいつはあの洞窟でルルーシュに冷たく言い放ったのだ。
「お前は世界を裏切り、同時に世界に裏切られた」と。

(違う!!!そいつは俺を皇帝に売り払った!!!)

裏切り者。その言葉は、枢木スザクにこそふさわしい言葉なのに………!!!
仮面の中で唇をかみ締めるルルーシュ。スザクは冷たい目をしてゼロを見る。大事そうにナナリーを守りながら。ナナリーを助けることがリリィとの約束。これで彼女は笑顔になってくれるに違いない。リリィには笑顔のほうが似合う。哀しみに暮れた顔なんて、見たくない………。そう、あの時のようなリリィは、傷ついたリリィは見ているだけで辛い。
スザクはナナリーを抱え、本艦を脱出した。
本艦が海へと落ち、その前に脱出したランスロットを見てリリィは脱力する。
結局紅蓮弐式との勝負はおあずけとなった。紅蓮がリリィの攻撃をかわし、行方をくらましたから。リリィもナナリーのことで必死になっていたので追いかけなかったのだ。
だらりとシートに体をあずけると同時に、ライから連絡が入る。

「ナナリー、救出できたみたいだね。」
「うん、そうだね。」
「………あの、リリィ、大丈夫?藤堂さんのことは………」

藤堂のことを話そうとするライの言葉を遮って、リリィは言葉を返した。

「ライ、私は大丈夫。藤堂様のことも、もうちゃんと決めたの。あのねライ、私…………一回だけルールを破るけど、許してね。」

泣き笑いのような表情をする彼女に、ライははにかんだ。
もう人は殺さないというルールを、ライとリリィの二人で決めた。けどそれを破ろうとしている。藤堂鏡四郎を殺す。藤堂鏡四郎はリリィとライを殺す。殺さなければ、日本人はいつまでたっても夢を見続ける。戦えば、自分達も勝てるのではないかという。それは間違ったやり方。でも本当に?

銃を手にとって自分達の存在を訴えることが正しい?
組織の中からみんなで声を上げることが正しい?
どっちが正しくて、どっちが間違ってるの?

「………そんなの、私じゃ分からないわ。」

呟くようにリリィは言う。
最終的に頭がごちゃごちゃして、彼女はそれを振り払うように頭を振った。そんなこと、今は考えなくていいかもしれない。まずはナナリーに会いたい。大事な大事な妹。どんなに怖かっただろうか。
リリィはもう一度レバーを握って、アカシャを操った。帰るために。みんなの待つ場所へと。約束を守ってくれた、スザクがいる場所へ………。



スザクがアヴァロンへと帰ると、ジノもアーニャもライも揃っていた。きょろきょろとあたりをみても、探している人物の姿が見当たらない。ナナリーは不安そうにスザクの手を握っていた。かすかに震えているような気がする。ナナリーにも早くリリィに会わせたいのにな………とスザクは思っていた。
リリィの行方を聞こうにも、ジノはロイドやセシルと話してるし、アーニャは少しムスっとした表情でライにぴったりくっついている。とても話しかけられる状況じゃない。

リリィ、どこにいるんだろう………。会いたいのに。)

そう思いながらため息をついた時だった。スザクの姿にライが気付く。分かっていそうな顔をして、わざとスザクに尋ねてくる。

「誰をお探しですか?ナイト・オブ・セブン様?」
リリィを探してる。」

スザクが短く言葉を返すと同時に、突然近づいてきた気配にナナリーがぴくりと動いたのが伝わる。
ライはそんなナナリーに気付いたのか、小さく「ごめんね。彼女、びっくりさせちゃったね。」と言って、デヴァイサースーツのまま立ち去ろうとした。
スザクはライにもう一度リリィのことを尋ねた。ライは立ち止まり、しばらく考えたあと言葉を紡ぐ。

「……リリィなら、まだ帰ってきてないよ。今こっちに向かってるところ。」
「そう、なんだ………。」

そのやり取りを、ナナリーが聞いていたのか嬉しそうな表情で声を上げる。「リリィお姉様に会えるのですか!?」と。スザクはにっこりと笑って「会えるよ。」と答えた。そんなスザクを見て、ライは去り際に小さい声で彼に言う。

「ねぇスザク。この先リリィが僕たちのルールを破っても、許してあげてね。」
「え…………?」

振り返れば、ライは背を向けたまま片手を上げて歩いていく。
彼の言った意味が分からず困惑するスザクを、ナナリーは不思議そうに見つめているのだった。胸のうちでは、リリィに会えるという喜びをひそませながら………。




人間のあやまちは、人間を本来愛すべきものにする。
(ゲーテ)

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