FC2ブログ

25=10

駄文だらけのサイト

スポンサーサイト

Posted by 桂樹 on  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

桂樹

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation.

すがるのなら俺にしろ

Posted by 桂樹 on   0 


美和の初期刀・加州清光が折れたという知らせは、遠征から帰ってすぐに聞かされた。
加州清光は、この本丸の中で一番強かった。そして、美和の心の支えにもなっていた。きっとたぶん、人間の言葉で恋仲と呼ばれる関係だったんだと思う。本丸の中では皆、それを微笑ましく思っていた。俺をのぞいて・・・。

「・・・で、あの人は?」
「部屋にこもったきり。全く出てこない。部屋の前にご飯を置いてても、手がつけられてなかった。少しは食べてくれないと、彼女・・・病気になっちゃわないか心配で・・・」

光忠の言葉に、小さくため息をつく。
美和が部屋に閉じこもってから、まる2日が経過していた。食事もとっていない。部屋の外から話しかけると返事はするし生きてはいるようだと、光忠は言っている。
あの人が顔を見せないだけで、この本丸の活気は失われた。大切な主が姿を見せず、大事な仲間を失ったこの本丸はどうなっていくのだろうか。このまま彼女が姿を見せなかったら・・・。

「見てくる。」
「あ!ちょっ・・・国広君!今の彼女は加州君を失ったんだし、そっとしといたほうが・・・」
「しかしあの人は審神者だ。いつまでも落ち込んでられたら、こっちが困る。」
「それは・・・・」

言葉を返せなくなった光忠を背に、俺は美和の部屋へと歩き出す。
美和の部屋は静まり返っていた。呼吸さえも聞こえないくらいに・・・。名前を呼ぶが、返事はなかった。少しだけ、焦りが生まれた。もしも彼女が・・・死んでしまっていたら?
震える手で障子を開けると、美和は部屋の隅で丸くなっていた。静かに呼吸はしてるようで、俺は安堵する。

美和。いつまでそうしてる気だ。」

そばに座るが、彼女は丸くなったまま折れた加州清光を抱きしめていた。言葉は返ってこない。

「加州清光はもういない。それにもともとあいつは、刀剣の付喪神。美和とは違う存在なんだ。それはお前も分かっているだろう?それを承知で、お前は加州と恋仲になった。折れればいなくなると知っていただろう・・・?」

彼女が小さく頷くのが分かった。
俺は不器用だ。だから美和の気持ちにはうまく寄り添えない。俺の性格上、厳しい言葉しか彼女には投げかけられなかった。
美和がか細い声で「かしゅう・・・」と言葉を紡いだ。俺は彼女が抱きしめていた加州清光を取り上げて脇に置く。パッと彼女が身を起こして俺を見た。やつれた表情で、涙のあとを残す彼女は痛々しかった。小さく唇が呟く。「加州を返して」と。それはできない。加州清光はもう、折れてしまったのだから。折れた刀は・・・使えない。
白くて細い腕が、俺の脇に置かれた加州へ伸ばされる。俺はその腕をひっぱり、彼女を俺の腕の中へおさめた。そのままできるだけ強く抱きしめる。

美和、すがるなら加州じゃなく俺にしろ。加州はもう、いないんだ。折れた刀はしゃべれないし、美和を慰めることもできない。だけど俺なら・・・お前を慰めることぐらいはできる・・・」

ゆっくりそう言葉をかけると、美和は小さく泣き出した。声を押し殺して・・・。
そんな彼女の背中を優しくなでてやる。この悲しみを超えられたらきっと、彼女はいつものように笑ってくれるだろう。
美和が笑ってくれるのなら、俺の腕の中でたくさん泣くといい。その分俺がお前を慰めてやるから・・・。そう思ってしまう俺は、かなり卑怯なヤツだなと自分で小さく笑うのだった。





すがるなら俺にしろ




スポンサーサイト

桂樹

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation.

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。