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ワケアリ刀剣男士たち4


「えぇ!?なんでっ!?ちょっとなんでなの!?石切丸と三日月宗近、二人して美和と一緒に本部に行くってずるくない!?なんで俺じゃないんだよ!俺は美和の初期刀でしょー!?」

朝早くから、加州清光の絶叫が本丸に響く。
加州の目の前には、現代風な格好をした石切丸と三日月宗近、そしてこの本丸の主・美和が苦笑していた。

「加州、ごめんね。別に遊びに行くわけじゃないから。私は本部で審神者同士の会議だし、石切丸と宗近は・・・・」
「危ない刀剣ではないか、定期的に査定が開かれるのです。私たちは、この本丸ではワケアリ刀剣男士だからね。」
「全く・・・。本部の奴らも暇なものよ。このじじいの査定なんかして、どうするのやら・・・」

持っていた青い扇子で自身をあおぐ宗近。そばでにっこり笑っていた一期一振が、宗近に向かって言った。

「三日月殿。いろんな審神者があなたを顕現させようとしたけれど、あなたは刀剣男士にはならなかった。しかし今この本丸で、三日月殿は刀剣男士となり戦っている。こってりしぼられ、話をさせられるでしょうね。」
「一期一振、俺に恨みでも・・・?」
「・・・・まさか。」

二人の間で、静かに火花が散っているように見える。
美和はビジネスバッグに携帯やタブレット、必要な資料を詰め込みながら、初期刀である加州や山姥切国広に声をかけた。

「清光も国広も、今から遠征でしょ?他の刀剣たちをお願いね。二人とも、頼りにしてるよ。」
「頼りにしてるって?・・・仕方ない。美和がそう言うんなら、がんばっちゃおうかなぁー!」
「・・・アンタの頼みだ。まとめて俺が面倒みよう。」

美和の言った言葉に、加州はころっと態度を変える。国広もまた、ため息をつきながら答えた。加州も国広も、彼女のことを信頼しているのだ。

「じゃあ、俺たち行ってくるから!美和、お土産買ってきてよね!」
「石切丸殿は心配なさそうですが、三日月殿・・・くれぐれも美和殿のお手を煩わせないよう、お願い申し上げる。」
「お主も。残念な結果の遠征にせぬよう、気をつけるのだな。」
「ご心配なく・・・・。」

挑発的な宗近の態度に、一期が優雅に微笑む。そばにいた薬研が、ぶるっと体を震わせた。自分の兄は顔では笑っているが、内心怒っている・・・・。薬研はこっそり、遠征先にいる敵のことを哀れむのだった。
加州たちを遠征へと見送って、美和たちも現代にある、本部へと向かった。政府公認の機関であるため、本部の建物は大きく、たくさんの人たちがせわしなく働いている。

「じゃあ、石切丸と宗近とは、ここでお別れだね。私はこの上の階だから。会議が終わったらいつもの場所で待ってるね。石切丸、宗近とくれぐれもはぐれないようにね。」
「分かってるよ。美和、会議がんばって。」

美和が手を振りながら、上へと続くエレベーターへと乗っていく。
さて・・・と、石切丸は隣にいる宗近を見た。「覚悟はいいかな?」と尋ねれば、宗近は涼しい顔で「うむ」と返事をする。
長い廊下を歩き、一つのドアの前で立ち止まる二人。戸を叩けば、男の声が響く。「どうぞ」と。宗近が眉をひそめた。この男の声は、以前彼を保管していた人間と同じ声。

「査定・・・か。面倒なものだな。」
「私たちはワケアリの刀剣だから仕方ないさ。特に私は、美和のことを一度斬ってしまっているしね。」
「いっそのこと、美和のことを好いておる・・・と言ってしまおうか。好いておるがゆえ、反旗を翻す意はない・・・とな。」
「それはそれで、大問題になると思うけどな。」
「・・・冗談だ。では、ゆくとしようか。」

二人はドアを開いて、中に入る。重役と思わしい人物たちが、ずらっと座っている。その中で、トップの人間が最初に口を開いた。「よく来たな、石切丸・三日月宗近」と。
査定はまず、石切丸から始まった。これまで何度も査定を受けている彼は、慣れた感じで質問に答えていく。彼の査定はすぐに終わった。次に宗近の名前が呼ばれる。名前を呼ばれた瞬間、重役たちの目が一斉に宗近へと注がれた。みんな、目をギラギラさせている。

(なるほど・・・。俺が天下五剣の一つであり、今まであらゆる審神者の顕現の力を受け入れてこなかったからか。皆、興味津々のようだな・・・。ふむ。こやつらに正直に答える道理もなかろう・・・。)

宗近がこっそり、にやりと口角をあげたのを石切丸は見逃さなかった。





会議が終わり、いつも石切丸と待ち合わせる庭園のベンチに座っている美和
タブレットをいじりながら長い時間二人を待っているのだが、いっこうに姿を見せない。いつもなら石切丸が早く終わり先に待っているが、今日は宗近も一緒だ。宗近の査定が長引いているんだろう・・・と考える。しかし、あまりにも遅すぎる。直接査定会場まで行こうかと立ち上がったが、すれ違ってしまっては大変なことになる・・・。美和はそのまままた、ベンチに腰を下ろした。その時、困った顔をしながら頭を抱える石切丸と、ニコニコ笑っている宗近が姿を現した。

「遅かったね。二人とも・・・。もしかして、ずっと査定だったの?」
「・・・・それが・・・・」
美和よ。身分の高い人間どもに、一泡吹かせてやったぞ。」
「・・・・・え?石切丸、どういうこと?」

満足そうな顔をしている宗近を睨みつけ、石切丸が口を開いた。彼の言葉を聞いた瞬間、美和は青ざめ、宗近は高らかに笑った。





数日後。石切丸から査定での話を聞いた加州は、刀を抜かんばかりの勢いで廊下にいた宗近につめよった。

「三日月宗近っ!あんた、査定で『美和のことを好いておるがゆえ、反旗を翻す意はない』って言ったって本当っ!?言っとくけど、あんたなんかに美和は渡さないからな!」
「はっはっは。加州、まあ落ち着け。俺は正直に答えたまでだ。」
「・・・やっぱあの時、折っときゃよかった!」
「三日月殿。次の査定ではまじめに答えてください・・・。」

地団駄を踏む加州の横で、石切丸が頭を抱える。宗近はそれを笑い飛ばしてしまう。どうやら、次の査定でもまじめに答えるつもりがないようである。
その頃、美和は自室で今回の査定に関する書類を読んでいた。

『刀剣・三日月宗近の査定評価について。
上記刀剣は、今現在悪意は感じられないが、時に常軌を逸脱した行動をする傾向にあると断定。危険な刀剣でない・・・とは一概に言えず。よって、引き続き審神者によって監督していくこととする。三日月宗近の胸の内に、黒き闇が見受けられる。十分注意せよ。』

「宗近の胸の内に、黒き闇・・・・か。彼は自分の本心を、私に見せてくれる日が来るのかしら?」

自室から出ると、廊下で加州がわめき声を上げ、石切丸が頭を抱えていた。その横に立つ宗近と目が合う。彼は意味ありげににっこり笑うのであった。


続く。

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