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輪廻転生の果てに


遠い昔、私は本物の狐だった。仲間もおらず、孤独な私に優しくしてくれた一人の人間の娘がいた。
その娘も、一人だった。名前は知らない。聞こうとも思わなかった。でも、2人とも独り身同士。私たちはいつしか、お互いに寄り添って生きるようになっていた。食べ物を分け与え合い、夜は一緒に丸まって眠る。人間の娘は、眠るときよく私に言っていた。

「狐さん、私が目をさまさなくなったら、私を食べていいよ。」

そんな生活がしばらく続いた頃、人間の娘はある寒い夜から、目を覚まさなくなった。
私がどんなにゆすっても、どんなに鳴いても、どんなに優しく噛み付いても、彼女の瞳は閉じられたまま。私はその時悟った。あぁ、この娘は死んだのだと・・・・。
私はその娘の言葉通り、肉を・・・食らった。それが娘の願いであり、私にできる娘の弔い方なのだと思ったから。娘の肉を食らい、娘よりも長く生きねばならない。残された私にできる、たった一つのことだった。そのまま、娘の死んだ場所が私の居場所となった。娘の骨の上に雪が積もり、春が来て雪がとけ、花が咲いては枯れていき、また雪が積もる・・・・。それを私は娘が横たわっていたそばで見る。いつしか私も、狐としての命の終わりを迎えた。

それから私は、ずっと娘の魂を追いかけている。幾度となく違う生物に生まれ変わり、生まれては死んでゆき、また新しく生まれ変わる。果てしなく長く輪廻転生を繰り返し、とうとう私は付喪神となってこの世に生まれ変わった。神となった私はもう、輪廻転生を繰り返すことはない。私は付喪神として、とある刀剣に宿った。その名前は『小狐丸』。狐であったときの記憶が、ふと蘇る。
小狐丸に宿った私は生まれ変わらぬまま長い時代を見て、ゆったりと未来へ進んでいく。
過去の時代を認めぬ者が、歴史改変を望んで立ち上がった時、私は政府の人間から一人の娘の手へと渡る。その娘、審神者と呼ばれる者。眠っている我らを顕現させ、戦う力を与える者。

「小狐丸・・・・。」

私に呼びかけるその声に、私はハッとした。その人間に宿る魂は、かつて私と共に生活をした娘の魂そのものだったのだ。姿こそ違えども、私はこの優しく暖かな魂のぬくもりを覚えている。
静かに祝詞が唱えられる中、私はこの娘の前に顕現した。

「小狐丸にございます。主様・・・・ぜひともそのお名前を、この小狐にお教えください。」

名も知らずに私は、あなたの体を食ってしまった。そのおかげで、私はいくつもの年を生きることができた。
今度は私があなたに恩を返す番です。

「私は美和。小狐丸、私と一緒に戦ってくれますか?」
「ぜひとも。私はあなたのために戦い、あなたをお守りします。それが私にできるあなたへの恩返しです。」

彼女は眉をひそめて首をかしげた。私はにっこり笑う。あぁ、探していた魂に出会えてよかった・・・と。
美和があの時のことを忘れていても、私は絶対に忘れない。あの時私にくれた美和の血肉は、今でも私の魂の中で息づいているのだから。





輪廻転生の果てに






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