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25=10

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その目、気に入らないな


初期刀である俺と、主である美和が結ばれなかったのは、きっと俺のせいだとずっと前から確信していた。
いつも「写しだから」という俺に、美和は笑って「そんなことないよ」と言ってくれていた。俺はその言葉を無視しつづけた。そのたびに美和は悲しそうな顔をした。俺に対して無条件に開かれた無償の愛を、俺はばっさり切り捨ててしまったのだ。
それに気づいたのは、レア太刀の三日月宗近が来てからだった。

うちの本丸は、そこまで刀剣の数は多くない。太刀だって三日月宗近と一期一振くらいで、あとは打刀が俺と加州、大和守安定、短刀が何振かぐらいしかいない。
そんな中で美和へ急速に接近していったのが、三日月宗近だった。彼はおそらく、人間で言うところの「恋心」とやらを美和に抱いたのだろう。なんだかんだと理由をつけては美和にくっつき、話をし、一緒に散歩へと誘った。
美和もそんな宗近を信用してか、何かと相談するようになっていった。俺への相談が全くなくなったわけじゃない。宗近への相談事のほうがはるかに多い。今度の作戦から、プライベートなことまで。
美和の俺への態度が変わったわけではないけれど、いつもどおり俺へも優しくしてくれるけれど、それは宗近とは全く違うもので・・・。
宗近のそばで笑う彼女の笑顔を見るたびに、どうして俺はあの時、美和のくれた無償の愛を素直に受け取らなかったのかと後悔した。たぶん、三日月宗近はそんな俺の後悔に気づいている。彼の目が語っている。「主はお前には渡さない」と。

ある夜、俺は三日月宗近と話を終えた美和を自室へ誘った。話があるから来て欲しい・・・と。彼女は何の疑いもなく、小さくうなずいて笑った。その顔が、ちくりと俺の胸に突き刺さる。
部屋の明かりをろうそくだけにして、2人とも向かい合って座る。今日は天気も悪く、月のない夜だった。炎に浮かぶ美和の顔が、ぼんやりと魅惑的に俺の目にうつる。

美和、尋ねたいことがある・・・・・。その・・・・三日月宗近のことは好きなのか?」

一瞬美和はとまどった表情を見せ、ゆらゆらと視線を動かす。「あの、その」と意味のない言葉を繰り返した。ため息をつき、「正直に答えてほしい」と言葉を付け足すと、美和はじっと俺の顔を見た。そのままふわりと優しいまなざしをする。

「宗近のことは・・・好きだよ。」

まるで壊れ物を扱うかのような声でその名前を口にする。やわらかな目は、俺でなく宗近を見ている。美和の中に、俺の居場所は、もう存在していなかった。それが、彼女の愛を無視してしまった俺への代償だということぐらい、すぐに分かる。それでもやはり・・・・俺は彼女が急に欲しくなった。
美和を畳に組み敷いて、彼女の腕をそこに縫いとめる。静かに彼女を見つめると、状況を理解した美和は目を細めて小さく声を震わせ、聞きたくもない名前を呼んだ。

「宗近・・・・たすけてっ」

その、怯えたような目つきが気に入らなくて、俺は美和に言い放った。





その目、気に入らないな





美和と俺が結ばれないことぐらい分かっている。そうしたのは俺のせいだ。でも・・・今からその運命を、捻じ曲げてやる。
三日月宗近とは違った優しいキスを、俺は美和に送るのだった。


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