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渡せない役目


最近新しい刀剣男士がやってきた。にっかり青江と同じ刀派で、三日月宗近と同じ天下五剣のうちの一人。
その刀は数珠丸恒次という名前の刀だった。
三日月と肩を並べるほどのレア度ではあるが、資材も依頼札もさほど消費せず鍛刀できたのは、審神者・美和の霊力が高かったせいなのかもしれない。
見た目も美しい刀なのだが、天下五剣の中で最も美しいと言われた三日月宗近よりは劣るかもしれない・・・。そんなことを小狐丸が口にしているのを宗近は聞いたことがあった。確かに美しさには自信がある。優雅な舞も踊れるし、この本丸の中では一番強いとも思っている。そういうふうに努力したからなのだ。美和の心を掴むために・・・。だから内心、数珠丸が来た時は少しだけ動揺した。この新しいレア太刀に、美和の心がうつってしまうのではないかと・・・・。

「三日月殿。今日は非番ですか?」

宗近が縁側に座って空を眺めながら茶を飲んでいると、廊下の向こう側から長身の男が歩いてくる。
数珠丸だった。長い髪を引きずりながら静かに歩く彼は、少しだけ微笑んでいた。

「そうだな。今日は内番もなければ、遠征も出陣もない。美和が本部に行っている間はやることもないのでな、少しばかり茶を飲もうかと思ってだな・・・」
「三日月殿は、美和殿の近侍でしたね。そういえば、美和殿が私を鍛刀した時の近侍もあなただった。」

宗近の隣に座った数珠丸は、少しだけ意味ありげな言葉を紡ぐ。

「この本丸の近侍は、前からずっと俺なのだ。元は初期刀の山姥切国広だったんだがな、いつのまにか国広のレベルを俺が追い越してしまってな。」
「そうなんですか。そういえば三日月殿はこの本丸の中で、一番レベルが高いのでしたね。私も早く、あなたと同じくらい強くなってみせます。天下五剣の呼び名にかけて・・・」

彼のゆっくりとした口調の中に、何か強い意志を感じる宗近。数珠丸の胸の内はよく分からないのだが、宗近には一つだけ理解したことがある。

「俺と同じくらい強くなっても、美和がそなたを近侍に選ぶかは分からんぞ。」

ずずっ・・・と茶をすする音が響く。しばらく言葉は返ってこなかった。
美和が数珠丸に心うつりするのでは?・・・と動揺したことはあるものの、その可能性が低いことを宗近は知っている。
他の刀剣男士たちに極秘で、美和と宗近は契りを結んでいるのだ。美しい刀に宿った付喪神の妻は、美しく気高き人間の娘。決して裏切ることもなく、最期の時まで宗近に寄り添うと誓った美和

「・・・三日月殿、私があなたと同じくらい強くなったなら、勝負していただけませんか?美和殿の近侍をかけて。」
「別にそれはかまわんさ。それにしても数珠丸恒次。お主は仏教の刀剣であろう?そんなふうに欲望のまま生きても許されるのか?」
「欲望などと・・・。私はただ、仏教の刀として、よりお側で美和殿をお守りしたいだけです。」

それだけ言うと数珠丸は立ち上がり、元来た方へと戻って行く。それを見送りながら、宗近は飲んでいた茶を一気に飲み干す。

「・・・ゆるりと茶を飲んでいる場合でもないか。」

小さく呟き、彼もまた立ち上がった。数珠丸とは反対方向へと歩き出す。腰にさしている三日月宗近本体に手をかけながら、彼は鍛錬場へと入っていく。美和の近侍という立場を守るために、さらに努力を重ねることを胸に誓うのだった。






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