25=10
駄文だらけのサイト


★更新履歴★


17.09.16
IC#56〜#63移行完了
#66・#67UP!
長らくお待たせしました!
 




お気に召した方はどうぞ


お礼→とうらぶ@三日月宗近


お名前変換




カテゴリ


はじめに (1)
刀剣乱舞top (1)
  三日月宗近 (11)
  小狐丸 (4)
  石切丸 (4)
  一期一振 (3)
  山姥切国広 (3)
  鶴丸国永 (2)
  刀剣乱舞 その他 (9)
  審神者会議襲撃戦 (2)
  刀剣乱舞 彼は誰時(プチ連載) (1)
  審判者会議シリーズ (4)
コードギアスtop (1)
  IC (69)
アトラス (2)
  P4連載 (14)
  アトラス 短編 (4)
その他ジャンル (4)
link (1)
未分類 (0)


Twitter




最新コメント




2015.10.16  ワケアリ刀剣男士たち3 <<12:42



誰かの声がする・・・・と、俺は耳をすませた。
それは私を管理している男の声と、まだあどけなさの残る娘の声。
俺はついに、折られる日が来るのかと覚悟を決めた。
どんな審神者が俺を顕現させようと力を使ったが、俺はその全てを拒否してきた。
顕現されるということはまた、あの時のような目にあうかもしれない・・・。
もう、忘れたいのに忘れられない。
折られた仲間たち。血まみれで倒れる主の姿。
呆然と立ち尽くすだけの俺・・・・。
そんな記憶を抱えて時間を過ごすよりかはいっそのこと、折ってくれたほうが幸せなのに・・・。
三日月宗近としての人生を、終わらせてしまいたい。
いや、人生という言葉は、不適切だな。俺は人ではない・・・。
己の言葉に笑ってしまった。

そんなことを考えてるうちに、俺は娘に抱えられ外に出る。
日の光を浴びるのは、何年ぶりだろうか?
俺は娘とともに時代を超える。やってきたのは、戦国の世の本丸であった。
俺が以前、いた時代の・・・・。俺は、折られるのではないのだろうか?
少しの希望が、絶望に変わる。

広い部屋に置かれた俺を、いくつもの刀剣たちが囲む。
俺を眺めては、「綺麗」だとか、「さすが天下五剣」だとか言葉を紡いだ。
その中に、見知った顔がある。鶴丸国永と、一期一振。
かつての仲間を思い出した。
俺のいた本丸も、このように賑やかであった。

(懐かしい・・・。あの頃は幸せであったな。)

前の主は、男であった。
他の刀剣たちからも好かれ、頭のよい、心優しき青年であった。
俺の晩酌にもつきあってくれていた。全てが懐かしい思い出・・・。

「今日はここまで。少し三日月宗近を休ませてあげるわ。」

短刀たちの間に、割って入る娘。
俺をあの薄暗い部屋から持ち出した人物。この娘が、この本丸の審神者であったか。
まだあどけなさの残る娘。
一期は俺に、この娘を傷つければ許さないと言い、部屋を出て行く。
刀剣たちがみな、この娘のことを好いておる。
娘は言った。顕現したくないのなら、しなくてよい・・・と。
その時は、娘が俺を折ってくれるのだという。

辛い記憶を残したまま過ごすのは、あなたにとってあまりにも残酷なことでしょう?

娘の言葉に、俺の体が震える。
おぬしは、俺の気持ちが分かるのか・・・?



「これが三日月宗近・・・。確かに綺麗だな。でも、俺のほうがかわいいもん!」

「天下五剣に対して、ライバル意識を燃やしてどうする。加州清光・・・。
だがしかし、さすがの名刀。写しの俺とは、全く違う・・・。」

「三日月殿を見て、ブルーにならないで欲しいな、国広君。」

とある夜、三振の刀剣が俺の元を訪れた。
山姥切国広、加州清光、そして・・・同じ三条派の石切丸。
その三人は、俺に話があると言う。俺は黙って石切丸の話を聞いた。
石切丸もかつては、俺と同じように主を失った経験を持つ刀剣であった。
そして、顕現され暴走した彼を止めたのが、隣にいる加州清光と山姥切国広と、あの娘。
彼女は美奈というらしい・・・。

「で、俺たちが何を言いたいかっていうと、もしまた同じようなことが起こったなら、
俺たちは本気であんたを折るから、そのつもりでねってこと。
でもきっと、それはあの人の本意じゃないと思うよ。」

「確かにね。彼女は腕を切られてでも、私を抱きしめてくれた。
あの時私は、美奈の優しさを垣間見たよ。
三日月殿。一度、人の姿に戻って、確かめてみてはどうだろうか?
美奈の優しさを。私たちの強さを。
それで君の過去や辛さが消えるとは思わない。
けれども、時間が止まったままはよくないと私は思う。少しでも踏み出せばきっと、何かが変わる。
私がそうであったように・・・。
用件はそれだけだ。じゃあ、私たちはもう寝ることにするよ。明日から遠征だしね。」

明かりが消され、三振が立ち去る。
しん・・・と静まり帰ったこの本丸。開け放たれた障子から、月の光が差し込んでくる。
日の光とは違う、静かな暖かさ。
俺は、自分自身に与えられた力に手を伸ばす。
その瞬間、刀剣であった三日月宗近は、人の姿の三日月宗近へと変わる。
この感じ、どこか懐かしく思えた。
青い狩衣。その重さに体がついていかず、少しよろける。

「ははっ・・・。人の姿というものは、やはり少々不便に思う。」

そのまま静かに、部屋を出た。俺には確かめたいことがある。
美奈には、俺の辛さを消してくれる力があるかどうかを確かめたかった。

(確か、ここであるな。美奈の部屋は・・・)

静かに襖を開けると、布団の中で小さく丸くなって眠る美奈の姿。
その姿が、以前の主と重なった。

「俺はお前に問いたい。おぬしには、俺のこの辛さが拭えるのかと・・・。
俺の辛い気持ちを、おぬしは分かってくれるのかと・・・。
美奈殿、教えてほしい。俺は一体、どうするべきなのか・・・。」

眠る美奈の布団にもぐり込み、俺は美奈の体を抱きしめた。
そうすれば全ての答えが見つかるような気がしたから。

「・・・一緒に、いれば・・・いいと思うよ。その辛さが消えるまで・・・」

うわごとのように、彼女がそうつぶやき、ぎゅっと背中に腕がまわされる。
驚いて美奈の顔を見てみれば、彼女は眠ったままだった。
夢でも見ているのだろうか?
ふっ・・・と自然に、口元が緩んでしまう。
答えが見つかったような気がした。俺はこのまま、人の姿を保つ事にしよう。
この本丸でなら、俺の傷も癒せるような気がしたから・・・。
今はただ、眠りたい。このぬくもりに包まれて・・・。
人の体というものは、本当に不便だ。
安心やぬくもりを感じれば、眠くなってしまうのだから・・・。



翌日・・・。

三日月宗近が部屋から消え、本丸の中は朝から大騒ぎになった。
審神者の部屋以外、どこを探しても見つからず。
三日月宗近が置かれていた場所の前で、加州清光は腕組みしていた。

「昨日の脅しのせいで、逃げたのかなぁ?」

「誰かが盗んでいった可能性も考えられる。やはりもう少し、本丸の強化をするべきでは?」

「いや。自分から出ていった可能性のほうが高いと思うよ、国広君。
やっぱり、彼にはこの本丸は辛すぎたかな・・・」

そう話している三振のところへ、五虎退が遠慮がちに声をかけてきた。

「あの・・・皆さん。実は先ほど主殿のお部屋へ行ったのですが、
見知らぬ男の人が主のことを抱きしめたまま寝てらして・・・・・」

彼の言葉に、清光・国広・石切丸の三振が顔を見合わせる。
もしやと思い、彼らは美奈の部屋へと急ぐ。
話を聞きつけた他の刀剣たちがすでに部屋を訪れていた。

「おやおや、これはこれは・・・・」

「どういう風の吹き回しだ?」

「なぁ、このじいさん、今すぐにでも折っちゃっていいかなぁ?」

三振が口々にそう言う。
布団の中では、体の大きい三日月宗近が、大事そうに美奈を抱きしめてスヤスヤと眠っていた。
美奈も、いやがることなく気持ち良さそうに眠っている。

「しばらくこのままにしといてあげようか。彼の心の傷が癒えるまでね・・・。」

「えーーーーー。俺はやだよ。こんなじいさんが、美奈を抱きしめたまま寝てるなんて。
ずるい!ずるすぎる!俺は美奈の初期刀なのに!
俺だってこんなことしたことないのに!」

「それなら今夜、美奈に交渉してみればいいだろう?」

「あーーーー!国広、もしかして強がっちゃってる?
お前だってほんとは、美奈と一緒に寝たいと思ってるくせに!」

「なっ・・・・何を馬鹿なこと言ってる!加州清光!」

「あれ?もしかして国広君、図星かい?」

「あんたまで・・・・。やはりあのとき、あんたの事は折っとくべきだった・・・」

わいわいと騒ぐ刀剣たちの声を聞きながら、薄目を開ける三日月宗近。

(辛さが消えるまで、もう少しこのままで・・・・)

そのまま再び目を閉じる。彼の狸寝入りに気づく者はいなかった。

続く。

スポンサーサイト


No.8 /   三日月宗近 / Comment*0 // PageTop▲

← あなたと一緒に毛繕い / Home / ワケアリ刀剣男士たち2 →

Comment Post


Name:
Subject:
Mail:
URL:

Pass:
Secret:管理者にだけ表示を許可する

 Home