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桂樹

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ニガヨモギ

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前の主・・・沖田君は病で死んだ。戦闘でもなく、彼を蝕んだ病に倒れたんだ。その瞬間から僕と加州清光は、主を失った。かわいそうな沖田君。戦闘で死んだのなら、少しでも英雄になれたのかもしれないのに・・・。
沖田君がいなくなってから、僕たちは戦闘へ出ることもなくなり、この世界が平和になる様子を静かに見ていた。
時を経て刀剣は、戦いの道具ではなく、いつしか美術品へと姿を変えていく。
博物館や骨董屋に並ぶ刀剣たちは、自分自身の存在意義を問うたかもしれない。
僕は・・・どうだろう?そんなこと、どうだってよかったのかもしれない。

沖田君に会いたい。

自分の存在意義を考えるよりも、そのことばかり考えていた。僕は常に、沖田君の影を追っていたんだ。
時が過ぎ、刀剣が美術品となった遥か先の時代。僕たちは再び、美術品から武器となった。今度は人間の姿が与えられ、新しい主の元へと刀剣たちが集う。
僕の新しい主は、女の子だった。戦闘も意思も強くて、そして優しい。沖田君みたいな子。

「ねえ、主はもしかしてだけど、沖田君の生まれ変わりなんじゃないかな?」

ある日、そう僕は彼女の前で呟いてみた。その時彼女は苦笑する。

「安定は、沖田君が本当に好きだったんだね。でも・・・その悲しみをいずれは超えないといけないよ。」

僕は彼女の言葉を、理解できなかった。
その頃から、同じ沖田君の刀であり、相棒だった加州清光が彼女の近侍を命じられ始めた。
顕現された時期も同じで、同じような力量だった清光がなぜ、僕の上に立ったのか分からない。どうしてだろう?
それを清光自身に尋ねたところ、彼はこう言った。

「ニガヨモギの苦さを克服したんだ・・・。」

彼はこの言葉を残し、短刀たちを引き連れて出陣していく。彼が向かうのは・・・京都市中。時代は・・・新撰組がいた時代。まだ沖田君が生きていた時代。彼らの背中を見送り、隣で主が呟いた。

「ニガヨモギのにがさは、いなくなった人を悲しむ気持ちを象徴してるんだって。」
「じゃあ清光は・・・・」
「次は安定の番だね。」

にっこりと笑う主の言葉に涙した。ニガヨモギの苦さを克服できるのはまだ先かもしれないけれど、いつかはきっと・・・。



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