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#65


エリア7での総督引き継ぎ式が終わり、リリーナ新総督下でのエリア7が始動し始めたころ、本国にはナイト・オブ・テンのブラットリーやナイト・オブ・ワンのバルトシュタインがエリア11に集結し始めていた。ブリタニア皇帝がいなくなった今、全体の指揮を取るのは第2皇子であるシュナイゼル・・・。

(やっぱり、シュナイゼルが指揮をすることになったのね。このエリア7はナイトメアなどの技術提供では本国よりも高い技術を誇る地域・・・。アイツは絶対、この地を要とするはず・・・。)

リリーナはにやりと笑った。シュナイゼルはきっと、何かを考えている。そして彼のその考えはきっと、誰も幸せにはならないだろう。誰もが幸せになれるような最前の道をとるためには、シュナイゼルや他の兄弟たちの動向を正しく見極めなければ・・・・。

(このエリア7だけは・・・お母様が愛したアルビオンだけは、絶対に好きにはさせない。)

口を真一文字に結んで、報告書の数々を握りしめるリリーナ。ぐしゃっ・・・と小さく、紙の音が執務室に響いた。
一方その頃、シュナイゼルはアヴァロンでエリア11へと向かっていた。アヴァロン内のモニターで、ニュースが流れている。どのチャンネルを回しても、同じようなニュースだった。ワイドショーなんかで大きく取り扱われているその話題は、歌姫であるクイーン・リリーナが実はブリタニア皇族で、しかもエリア7で新総督として就任した話題・・・。

(あのリリーナが、エリア7の新総督・・・。これは面白いことになったねぇ。さて、彼女はどう出るつもりかな?そして、僕と君の最愛の妹であるリリィは、どちら側につくんだろうね・・・。)

シュナイゼルはちらっとモニターを見たあと、口の端を少し上げた。

***

(リリーナお姉様・・・。どうして突然、エリア7の総督なんかに・・・。あなたはいつも、歌で世界を平和にしたいと言っていた。歌うことは私の全て・・・と、いつも目を輝かせて話していた。私が傷ついた時はいつも、お姉様が私に歌ってくださった。歌うことさえできれば王位継承権などいらないと、幼い頃にエリア7を出て行ったお姉様・・・。でもお姉様にとってエリア7は、大切な思い出がつまった地。お姉様はあの地を守るために総督に・・・?何が起ころうとしているの・・・?)

「はぁ?ランスロットにフレイヤを?」

セシルのその声に、ハッとリリィは顔を上げる。先日シュナイゼルと話題になったフレイヤ。目的のものだけを一瞬にして消し去る、戦争ではまさに理想の兵器・・・。最初はエリア7で作られる予定だった代物。しかし前のエリア7の総督、モルガン・ル・フェはエリア7でのフレイヤ開発を反対した。彼女は語った。フレイヤは危なすぎる・・・と。使い方を間違えれば、滅ぶのはブリタニアだと警告した。きっと、その考え方は間違っていない。
ブリタニアは仕方なく、本国でフレイヤを開発した。その実験が成功したのは、つい先日・・・。

「あの、ロイド先生。ランスロットの件ですが・・・」
「戦術兵器に戦略兵器をのせる気かい?」
「それだけの理由はあります。一次制圧圏域に含まれた物質は、フレイヤのコラップス効果によって完全に消滅しますから・・・」

ぴくっと、リリィの肩が震える。

(フレイヤを・・・使うつもりなの?シュナイゼルお兄様・・・。力で制圧しようとでもいうの?それは昔の私と同じじゃない。徹底的に痛めつけ、制圧して、そこから何が生まれると思っているの?憎しみしか生まれない。また、繰り返すだけじゃないの・・・)

怯えたような表情を見せるリリィを見て、セシルが叫んだ。彼女だって知っている。フレイヤがどんなに危険なものかを。それをブリタニアは、18歳の少年にゆだねるというのだ。

「待って!そんなものをスザク君に打たせるつもり!?」
「同じ民族を、虐殺・・・・」
「・・・・っ!?」

リリィが、声にならない悲鳴を上げた。そっと、その隣にスザクが寄り添う。ニーナはじっとスザクだけを瞳にとらえ、淡々と述べる。

「スザク、まだイレブンと同族意識があるの?私は、あなたにフレイヤをゆだねたい。」
「僕に・・・背負えと?」

何もかも。同族を殺す罪も。フレイヤを使うことへの責任も。ブリタニアの人々の命さえも、何もかも・・・。
ニーナから返ってきた言葉は、こうだった。「あなたはユーフェミア様の騎士でしょ?」。
だから何だというのだ。ユーフェミアを殺したゼロに、騎士であるスザクが復讐しろと彼女は言っているのだろうか?だとしたらたぶんそれは、間違っている。

「あは!ニーナ君。この矛盾はスザク君だけじゃなく、君を殺すよー?」

ロイドがそう言い放った言葉にニーナは少しだけ顔をしかめつつ、その場をあとにする。ロイドやセシルもナイトメアたちの最終整備をするためにその場を離れた。残ったのは、ライとリリィとアーニャとスザク。そのうちライも白々しく、「そういえば用事があったなー」などと言いながら、その場をあとにしていく。ライのことが大好きなアーニャは、そのまま彼にくっついて行った。
二人っきりになった時、スザクはそっとリリィを背中から大きく包み込む。彼女の肩はまだ、少し震えていた。

「スザク・・・・。ごめんね。ブリタニアがフレイヤなんかを開発したばっかりに、あなたを同族殺しにしてしまう。私もおばあ様もフレイヤは危険だと言ったのに、聞き入れてはもらえなかった。シュナイゼルお兄様はフレイヤを開発して、これから戦争は変わると言ったわ。でも、根本的には何も変わらない。撃って撃たれて憎しみが生まれて・・・。どうしたら世界はもっと、優しく変えていけるのかしら?」

後ろから抱きしめるスザクの腕に、リリィは顔を埋める。そんな彼女をスザクは愛おしく抱きしめ、小さく彼女の耳元でささやいた。

「君がそう言ってくれるだけで、僕や世界はもう、救われているんだ。ねえ、リリィ。この戦いが終わったら僕たち・・・結婚しよう?」

スザクの突然の言葉に、リリィがスザクから体を離しパッと振り返る。赤い瞳を大きく開いて彼を見ている。彼女は完全に言葉を失っていた。金魚のように口をパクパクさせるリリィを見て、スザクは優しく微笑んだ。

「この戦いが終わったら僕は君と結婚して、幸せな家庭を作っていきたい。誰もがうらやむ優しい時間を作っていきたいんだ。だからリリィ。僕に生きる意味を与えてほしい。リリィ・ルゥ・ブリタニア。僕はあなたの騎士になりたい。そしていずれは、あなたの夫になりたい。どうか・・・・」

僕をあなたの騎士に。そして夫に・・・。皇女として僕に、「生きろ」と命令してください。

スザクは静かに頭を垂れ、リリィの前で片膝をつく。しばらくリリィは呆然としていたが、腰に携えていた剣を静かに鞘から抜くと、スザクの両肩にあてがって言葉を紡ぐ。

「枢木スザク。あなたは私の騎士として、いついかなる時も私のそばにいてくれますか?」
「イエス・ユア・ハイネス。」
「では、生きなさい。私のために。そしてこの戦いが終わったのち・・・・私を妻にしてください。」

スザクはぱっと顔を上げた。目の前には嬉し涙をにじませたリリィ。そんな彼女を見て、スザクはとびきりの笑顔で答えた。「イエス・ユアハイネス!」と、ただ一言だけ。
この日、スザクのポケットに眠っていた騎士の証であるバッジは、ユーフェミアの騎士である証から、リリィの騎士の証であるバッジへと存在意義を変える。この一部始終を物陰から見ていたライは、満足そうに目を閉じた。不意に、そばにいたアーニャが尋ねる。

「ライは、これでよかったの?リリィのこと、好きだったんじゃないの?」
「アーニャ、これでよかったんだよ。これで・・・・」

ライのその言葉に何か深い意味が込められているようで、アーニャはじっとライを見つめるのだった。



(花嫁)私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花。
(花婿)わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの中のゆりの花のようだ。
(雅歌2の1〜2)


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