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歴史と未来を守ってくれた者たちよ


注)刀ミュの三条 with 加州清光+女性審神者設定です。救われない、報われない話。「描いていた未来へ」を少し意識したお話です。





桜が咲くころ、俺は顕現された。この本丸の初期刀として、新米審神者の美和の初期刀として政府から彼女の元へとやって来たんだ。「ちょっと扱いづらいけど・・・」なんて言ったら、美和は少しだけ困ったように笑っていた。その顔はとてもかわいくて、ずっと見ていたいと思ったのが俺の本音。

春が通りすぎて、少しだけ暑くなり始めた新緑の時期。いくつかの短刀たちに交じって、三条派の今剣がやってきた。いつも鬼ごっこをせがまれて、汗だくになりながら鬼ごっこをした記憶。美和も一緒に、鬼ごっこをやった。美和は短刀たちに好かれていた。俺も美和が大好きだった。可愛がってくれて、着飾ってくれて、初期刀であることが誇らしかった。

夏になってから、今度は三条派の石切丸がやってきた。美和にいつも「加持祈祷ならいつでも任せてくれ」なんて言ってて、また美和が少しだけ困ったように笑っていたのを覚えている。俺は少しだけ、石切丸が苦手だった。何を考えているのか分からなかったから・・・。

秋。紅葉の時期に、三条派のレア太刀2振が同時に顕現された。新米審神者だった美和は、半年でかなりの霊力をつけ、レア太刀2振を顕現できるまでに成長していたんだ。やってきたのは三日月宗近と小狐丸。どっちも俺の話を全く聞かなくて、小狐丸なんか俺のことを子供扱いするし・・・。正直、石切丸同様苦手だった。

紅葉が散り、初めての雪を見た時期に、三条派最後の刀剣が顕現された。岩融という薙刀・・・。今剣はよく知ってるみたいで、岩誘が顕現されるやいなや喜んで彼に飛びついていた。俺と安定みたいなものなのかな?と思っていた。美和は「ちょっと違うかな?」と言っていたけれど、彼らがどんな関係だったのか、その時は知らなかった。
そのまままた、春が巡って来て、俺は第1部隊の隊長に任命された。メンバーは三条派の連中・・・。俺の気心知れたやつなんてどこにもいなくて美和に弱音を吐いたけど、彼女はただ笑って、「みんなを導いてあげてね」なんてしか言わなかった。どうしてこのメンバーが組まれたのか、その時の俺は分からなくて、美和が俺のことを嫌いになったんだと思った。
でも・・・違った。このメンバーで阿津賀志山に出陣し、三条派の抱えてる闇、俺自身の甘さと弱さを知った。きっと美和は、それに気づいていたんだと思う。だからこのメンバーを組んだ。
他の刀剣男士たちと衝突し、お互いのことを理解し合った時、絆が生まれた。仲間としての・・・・。苦手だったはずの三条派の連中は、新撰組の仲間たちと同じくらい俺の中では大切な仲間になった。
美和はそんな俺を見て、嬉しそうにしていた。「成長したね!」なんて可愛く言うもんだから、俺の顔は少しだけにやけてしまった。もっともっと、成長した俺を見てほしいと願った。
阿津賀志山での出陣が終わり、再び新たな敵と戦い始めた2年目の秋。山々がうっすら紅葉し始める時期・・・・。

「か・・・・う・・・。・・・しゅう・・・加州っ!」

どこかで俺の名前が聞こえる。低い声だった。美和じゃない。俺を呼ぶのは誰だろう?うっすら目を開けると、飛び込んできたのは緑色の着物を着た、体格のいい男。そいつは俺の顔をちらっと見たあと、長い刀を振り回して何かを斬っていた。

「しっかりするんだ!加州清光!」

意識が戻り始めた頃、男が鋭くそう叫ぶ。それが石切丸の声だと分かったのは数秒後。そして、俺の今置かれている現状を思い出す。俺ははじかれたように彼へと叫んだ。

「石切丸っ!美和はっ!?」
「岩融さんや今剣さんたちと一緒に逃げているはずだ!」

俺は少しだけ脱力した。彼女を逃がすことにはどうやら成功したらしい。その代わり、敵の攻撃を受けて気絶するなんてぶざますぎるけど・・・・。俺が気絶してる間は、石切丸が踏ん張ってくれていたようだ。しかし今は夜・・・。夜目のきかない石切丸に、夜戦は厳し過ぎたようで、彼ももうボロボロだった。

「ごめん!俺がミスったばっかりに・・・。石切丸、ぼろっぼろじゃん!」
「そういう清光もな。しかし、いくらボロボロになろうとも、ここだけは通さない。」

石切丸が刀を構える。俺も本体を構えて、敵に睨みをきかす。そこへこんのすけが飛び込んできた。こんのすけの顔は真っ青で、キュッと心臓が締め付けられる。まさか美和が・・・・?震える唇でそう尋ねようとしたとき、こんのすけは叫んだ。

「石切丸殿!加州殿!三日月殿と小狐丸殿が・・・・破壊されました。我が本丸において残っている刀剣男士たちは、石切丸殿と加州殿、岩融殿に今剣殿の4振でございます。さらに、時の政府からの援軍はあまり期待できそうにない感じで・・・・」

静かに石切丸が目を閉じた。俺も刀を握っていた手が震える。あの三日月と小狐丸が・・・折れた?
驚きを隠せなくて、こんのすけによりもたらされた事実が俺の心を揺さぶる。

「でも、まだ主は生きている・・・・」

ボソッと呟かれた言葉に、俺は我に返った。石切丸を見ると、彼は力強く頷く。そうだ。まだ美和が生きている。

「俺たちは歴史の流れを守る任務を授けられた刀剣男士。歴史の流れを守り、未来も守る。だから・・・美和が生きてる歴史を守らなきゃいけないし、美和の未来も守らなきゃいけない。美和を守るためなら俺たちは、刃が折れても、隊長が死んでも戦わなくちゃいけないんだっ!」

この時の石切丸は、俺を否定しなかった。ただ、黙って刀を構えていた。
春の花が咲く中で、夏の雨が降りしきる中で俺たちは生まれて来た。秋の匂いを知り、冬の空を見上げることができたのは、全て美和のおかげ・・・。だから、恩返しじゃないんだけど、今はただ、彼女を守りたいんだ!

「石切丸!行くぞっ!!」
「戦はあまり、得意ではないんだけどなっ!!!」

かけ声とともに、俺たちは敵へと突っ込んだ。でももう、俺たちも限界だったみたいだ。石切丸は最後まで粘っていたけれど、その大きな背中が崩れ落ちた瞬間、俺は小さく呟いた。

「ごめんね、美和。せっかく顕現してくれたのに。俺も美和の描いていた未来へ、一緒に行きたかったよ。」

そこで、目の前が真っ暗になった。この感覚・・・久しぶりだな・・・。


***


「・・・美和?どうしたのだ?」

山の中を警戒しながら進む中、美和の異変に気づいたのは岩融だった。急に膝から崩れ落ちた美和は放心状態で、どこか一点を見つめていた。今剣が美和にかけより、彼女を覗き込んだ時、美和は小さく呟いた。

「加州、私もあなたと、私の描いていた未来へ一緒に行きたかったよ・・・。」

彼女の言葉に、今剣と岩融は全てを悟り、顔を伏せた。
数時間後、時の政府からの援軍が来る。この時生き残った審神者と刀剣男士たちはごくわずかで、折れた刀剣の数は数多にも及んだ。戦いが終わり、生き残った美和は今剣と岩融を連れて本丸へと戻った。折れたたくさんの刀剣たちの中で、石切丸と加州清光の残骸が、二つ重なっていた・・・・。彼女はその2振を、ぎゅっと抱きしめるのだった。
私の歴史と、未来を守ってくれた者たちよ・・・・。

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