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生きて帰ること


バチバチと降りしきる雨が、激しく顔に当たっている。お気に入りの服はぐっしょり濡れて肌にまとわりつく。空を見上げれば真っ黒な雲と、時折ぴかっとイナズマが走って行く。そして、遅れてやってくる低い音。
加州清光は仰向けの状態でそれらを見ていた。どうして自分がこんな状況下にいるのかが分からない。降りしきる雨のせいで、地面は泥だらけだ。体を地につけているためか、ドドドドドという轟が聞こえてくる。目を凝らして周りを見回せば、仲間たちが必死で戦っていた。

(俺、どうしてここにいるんだっけ・・・?)

記憶を掘り返そうと目を閉じかけた。しかしかすかに視界の端に映った影をとらえて目を見開く。ぬっと自分に大きな影が落ちた瞬間、加州ははじかれたように起き上がった。気づくとそばには大きな刀が地面に刺さっている。

(検非違使・・・・!)

体勢を立て直しながら加州は目の前の敵を睨みつける。目を爛々と光らせる検非違使の大太刀がいた。

(そうだ・・・。俺たち・・・・!)

冴え始めた頭は、どうしてこのような状況に至ったかを思い出す。池田屋の記憶の時代へ、遠征に来ていたのだ。討伐が終わり、雨も降りそうだから早めに引き上げるはずだった。仲間たちと今日の遠征の話をし、もう少し鍛錬が必要なんじゃないかという結論に至った時、彼らは現れた。検非違使が・・・。
この中で一番レベルの高い刀剣男士は、加州と大和守安定だった。あとの仲間たちは短刀だったり脇差だったり。対する相手は薙刀や大太刀、槍ばかりでとても不利な状況で・・・。

加州はそばに転がっている自分の刀を拾い上げ、敵の大太刀を見据える。そばで安定のブチギレた雄叫びが聞こえてくる。みんな必死だった。無事に本丸へ帰るために。主である美和に会うために・・・。それは加州だって同じだった。

『加州。もし何かあった場合は、戦わず逃げなさい。絶対に、生きて本丸へ戻ってくる事。全員で。絶対よ!』

いつも遠征に行く時に、美和はいつもこう言っていた。何かあった時って・・・と、笑っていたけれど今の状況を見て全然笑えやしない。加州はひと呼吸置くと、刀を鞘におさめてから青い羽織を着ているその人物へと叫んだ。

「安定っ!みんなを連れてここから撤退する!」

振り返った安定の顔が、驚きに満ちていた。「いつものお前らしくない」と言いたげな顔つき。加州は美和の言葉を思い出しながら言葉を続ける。

「生きて本丸へ戻る!全員で、絶対に!だからここは一時撤退だ!」

大太刀の攻撃をよけつつ、加州は短刀たちを連れて走った。生きて再び、美和に会うために・・・。
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