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25=10

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審神者への忠義

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新しい刀が来た・・・と本丸で大騒ぎになった。
その刀は粟田口の一派で、鍛刀によって生まれた際には一期一振が静かに興奮していた・・・という話を、同じ堀川派の堀川国広から聞いた。
その時俺は遠征に出ていたから、その刀とはまだ会っていないけど・・・。
しかしこの本丸の初期刀ならば、一度会わなければならないだろう。
初期刀として、その刀が本当に美和に忠義を尽くせるのか、確かめなければならないと思っているからだ。
いつもそうしてきた。そのせいで、何と無くこの本丸では俺がそういう役目をする刀なのだとみんなが思っている。
もしかしたら、敵方が送り込んで来た刺客・・・。そんな考えでさえ、頭の片隅には存在するのだ。

部屋に入ると、あらかじめ呼び出しておいた白山吉光がきちんと座していた。
傍らには、白い狐がちょこんと座っている。鳴狐のお供に似ていたが、こちらの狐は寡黙であった。
白山の前に座ると、彼が静かに頭を下げる。サイドの長い髪がスルリと流れた。

「この本丸の初期刀、山姥切国広・・・だな。この本丸での活躍ぶり、政府の方で噂は聞いている。」
「何を噂されているのやら・・・」

白山は頭を上げ、涼しい顔をして続けた。

「まぁ、色々と。あの長義の査定に受かった・・・とか。今回、政府から様々な本丸へ顕現する許しをもらい、こうしてこの本丸にも顕現した次第だ。俺が権限できたということは、ここの審神者は相当な力を持っているようだ。」
「まあ、そうだな。実際、この本丸には早くから天下五剣の刀が早い段階で来ている。」

俺たち刀剣男士の本体はもともと政府へと保管されている。その本体を審神者の力でコピーとして作り出し、魂を励起させる。結局のところ、その刀が作り出せるかどうかは、審神者の力と運次第なのだ。

美和様・・・だったか?実力を見るのが楽しみだ。」

アイスブルーの瞳が、少しだけ細められた。人として顕現した彼が、どことなくまだ人でなく冷たい無機物のような感じがして、俺は少しだけ危機感を覚えた。まだ人の形になれてないせいなのかもしれないが・・・と心の底で自分に言い聞かせる。

「ああ。美和は確かに霊力が高く、優秀な審神者だ。お前ががっかりすることもないだろう。そんな美和に、お前は忠義を尽くす覚悟があるのか?」
「・・・この本丸に顕現されたのなら、主に忠義を尽くすのが当然だろう?精一杯、主に尽くし自分の力を振るう覚悟はある。刀剣男士として。それで折れるのなら、俺の本望だ。」

そう語る、彼の瞳を知っていた。この本丸に来たばっかりの俺と同じ瞳だ。主のために戦い折れるのも、刀としての本望だ。
そう思っていた昔の自分と、今の白山が重なる。

「・・・違うぞ白山。刀剣男士なら、主のために戦い、そして生きて戻ってくる。それが美和への忠義だ。」

俺の言葉に、目の前の白山は少し困惑していた。揺るぎなかったアイスブルーの瞳が、少しゆらゆらと動いている。
来たばっかりの彼にはきっとまだ分からない、美和への忠義。いずれ分かることだろう・・・俺はそう思った。




聚楽第

Posted by 桂樹 on   0 


聚楽第への通路が封鎖されて1ヶ月がたっていた。
監査官として第2部隊に同行していた山姥切長義も、新しい刀として馴染み始めた頃だった。
三日月宗近は秋の日差しの中、縁側に座り茶をすする。真っ赤に色づいた庭の紅葉の葉が、音もなくハラハラと散る。
ただ、その場は静寂だった。ふと、昔聞いた百人一首の一つを思い出す。

(そういえば、あったな。紅葉の歌。確か・・・)

頭に浮かんだその歌を、小さく呟く。そうでもしてないと、あの時のことを考えてしまいそうで仕方なかった。
あのこととは、聚楽第での出来事。できれば今は、考えたくもないことであった。
しかし・・・・。

「三日月宗近。こんな所でまた茶を飲んでいるのか?今日は内番も休みか?」

声をかけたのは、聚楽第を共にした、山姥切長義であった。できれば今は、会いたくなかったのだが・・・。

「山姥切の。お主はこれから内番へ向かうのか?」
「そうだ。全く・・・。この山姥切の本歌が、どうして畑仕事なんか・・・。しかも今日は偽物君とだよ。」

不服そうに顔をしかめた長義が、小さくため息をついた。
会話は一旦そこで途切れたが、しばらく時を置いたのち、再び長義が口を開く。
彼の言葉は唐突だった。

「・・・・・三日月宗近。お前はもしかして、あの聚楽第のことを考えているのではないな?」
「・・・・。」

宗近は何も言葉が返せなかった。知らぬふりをして茶を飲んでみたものの、長義は宗近が聚楽第のことを考えていたのだと分かり、先ほどとは違うため息をついた。呆れたため息だった。

「三日月宗近。いいか、あれは違う次元の世界の話だ。あそこは歴史改変されてしまった、こことは違う平行世界の話だ。あの世界の本丸は、確かにこの本丸とそっくりだった。敵も、あの時と同じ第2部隊の刀剣男士だった。だた、それだけの話だ。この世界とは違う世界の話。一体今更何を考える必要があるんだ?」

長義は持っていたスコップを地面に刺した。スコっという、土とスコップが擦れた音がする。
長い時間をかけて、宗近はただ一言、「そうだな・・・」とだけ言った。
彼の言葉を聞いた長義は、どこかまだ不満そうであったが、そのままスコップを地面から抜いて立ち去った。
宗近はただ、静かに茶を飲みながら彼の後ろ姿を見送る。再び静寂が訪れた。

「今更何を考える必要がある?・・・か。」

宗近は持っていた湯飲みに視線を落とした。自分の顔が茶に映る。
あの聚楽第は、確かにこの本丸と同じだった。同じ土地。同じ本丸。同じ仲間。そしてきっと・・・同じ審神者。
あの世界では審神者に出会わなかった。長義はあの時、この世界の審神者は死んだと言った。それはおそらく違うと、宗近は今でもそう思っている。
聚楽第で敵として現れた三日月宗近を切った時に、それがはっきり分かった。
あそこの世界の審神者は、あの三日月宗近が隠してしまったのだ。それはあれが、自分の主である審神者を好いていたから。
そして自分も・・・・。

「もし、あの世界がこの世界の鏡のようなものなら、俺ももしかしたら美和を・・・」

あの時、聚楽第で死んでいった三日月宗近の顔を思い浮かべて、宗近はゾワっと寒気がした。
あってはならないことだ。審神者を隠すなど・・・。しかしもし、この世界が聚楽第のようになってしまったら、俺は自分の衝動を抑えられるのだろうか・・・。
不安な気持ちに押しつぶされそうになりながら、宗近は縁側から立ち上がった。
その場を後にする彼を、たまたまそこに戻ってきた長義は目撃する。そのまま瞳を少し細くしながら呟いた。

「・・・聚楽第でアレを斬った時に、アレの霊気に当てられてなければいいんだがな・・・・・。」

長義は三日月宗近自身が、この本丸の三日月宗近のまま過ごせるよう、願うばかりだった。



では主、行ってくる。

Posted by 桂樹 on   0 



修行に出る奴らを、初期刀として何度も見送った。
一体彼らは、どんな思いを抱え修行に出て、戻ってきたのだろう?怖くはないのか?自分の過去と向き合うこと・・・。
美和はそんな彼らを、静かに見送り静かに迎え入れた。
陸奥守、蜂須賀、加州、歌仙・・・。
馴染みの打刀たちが旅に出て、全員が戻ってきた瞬間、彼らの顔つきは違っていた。
過去を受け入れ、未来と今の主である美和を見つめていた目だった。
みんな、俺よりも一歩前に進んでいた。
初期刀だった俺よりも、一歩前に・・・。

強くなりたいと思った。

これまで写しだと卑屈で生きてきた。
山姥切の写しとして生まれてきたことに対して、罪悪感があった。
それをかき消すように、自分は国広の第1の傑作であると、言い聞かせてきた。まじないのように・・・。

これで、いいのか?

心の中に宿るもう一人の自分が、問いかける。
他の奴らは前に進む。強くなるために。美和を信じて。
兄弟である堀川国広だって。きっといずれは、山伏国広だって・・・。

自室の真ん中であぐらをかいて目を閉じていた俺は、静かに目を開けた。
誰にも劣らないくらい、神経が研ぎ澄まされている。今なら・・・。
夕闇が迫る時間帯、俺は美和の部屋へ向かった。

美和。あんたの初期刀として、一つ頼みたいことがある。」

俺を見つめた彼女のその目は、もうすでに俺の願いを見透かしているような目だった。



では主、行ってくる。



そう短く告げて、俺はこの本丸をあとにした。

かざぐるま

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とある本丸で、若い審神者が病気で亡くなった。
審神者は残された刀剣男士たちが、次の審神者が決まるまで今の姿が保てるようにと、庭の大木に己の力を残していた。
刀剣男士たちは、その力を少しずつ使いながら姿を保つ。
審神者がいなくなったこの本丸は、喪に入った。皆、ふとした瞬間審神者を思い出し、涙を浮かべたり、鼻をすすったり。
新しい審神者なんていらない・・・とさえ思っていた。
そんな日が1ヶ月ほど続いた頃・・・。
突然三日月宗近を筆頭とする三条派の者たちが、小さな赤子を連れて帰って来た。
赤子はどこか懐かしい匂いがした。ついこの間まで、ここにいたような人物と雰囲気がそっくりで、その人物の名前を口にしてしまいそうになる。

「この子は一体どうしたんだ?」

長曽祢虎鉄が三日月宗近に尋ねると、彼はにっこり笑って答えた。

「我らの新しい主よ」

宗近の言葉に、他の三条の面々も頷いた。
小さな赤子はケタケタと笑いながら、長曽祢に向かって手を伸ばしていた。まるで、再会を喜んでいるように・・・。
その日から、小さな赤子は前の主を失ったこの本丸を引き継ぐことになった。

赤子は刀剣男士たちに愛された。
あまり泣くこともなく、人見知りすることもなく、みんなに懐いた。特に、近侍である三日月にはひときわよく懐いた。前の主とどこか似ている・・・と、みんなそう思っていたが、口には出さなかった。
寒かった冬が過ぎ、春が来て、初夏の頃を迎えた。
宗近は赤子を抱きながら、加州が持って来たかざぐるまに息を吹きかけ回す。大きなかざぐるまが回るたび、赤子は喜んで声を上げた。そして三日月は小さく歌ってやる。

「・・・なぁ、美和よ。俺を愛してくれたこと、覚えてはおらんだろうなぁ。しかしだ。お前はまた、こうして再び生まれてきてくれた。美和が俺に会いたい一心で、再び生まれ変わってくれたと、そう思ってもよいか?」

優しく話しかけると、赤子は声を出さず、ただにこっと笑った。その表情が前の審神者そのもので、宗近はキュッと胸が苦しくなる。
ただただ前の審神者に会いたい一心で、宗近は彼女の魂を探した。再び人間に生まれ変わってくることを信じて。探して探して、やっと彼女の魂を見つけた。

「俺はずっとずっと美和そばにいてやろう。今度はこの手を離さんぞ。だから早く、大きくなっておくれ。」

いつの間にか眠ってしまった赤子を抱いたままゆっくり揺らし、宗近はまた小さく歌いだす。
緩やかな風に吹かれ、かざぐるまが回り始める。宗近と赤子の関係も、ゆっくりと回り始めていた。


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